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退職金を請求できる根拠、支払日、減額の定め、請求の方法と時効を解説します
退職金は、就業規則や労働契約などに退職金の定めがあり、その支給条件を満たしていれば、会社に支払を請求できます。
この記事の結論
- 支給の条件が明確に定められた退職金は賃金に当たり、支払わなければ労働基準法第24条に反します。
- 規程に支払時期があればその時期まで、なければ請求した日から7日以内が支払の期限です。
- 自己都合退職や懲戒解雇でも、規程に根拠のない減額はできません。
まず、退職金の定めがあるかを確かめる
退職金を支払うかどうかを決めた法律はありません。支払うかどうか、いくら支払うかは、会社ごとに就業規則や労働契約などで決めます。
常時10人以上の労働者が働く事業場で退職金の制度を設けるときは、就業規則に記載しなければなりません。記載するのは、対象となる労働者の範囲、額の決め方と計算・支払の方法、支払の時期です(労働基準法第89条第3号の2)。
支給の条件が就業規則などで明確に定められていれば、その退職金は労働基準法第11条の賃金に当たります。支払わなければ、賃金の全額払いを定めた同法第24条に反します。
退職金の定めを確かめる書類
- 労働条件通知書、雇用契約書
- 就業規則と、その付属の退職金規程
規程がなくても、慣行があれば請求できることがある
就業規則に定めがなくても、明確な基準で退職金が支払われ続け、その慣行が確立しているときは、会社は退職金を支払う義務を負います。会社と個別に支払を約束した場合も、請求の根拠になります。
長く続いた支給の慣行を、会社が相当の理由なく一方的にやめることはできないとされています。
慣行を根拠に請求するときは、以前に退職した人に、同じ基準で長い間退職金が支払われてきたことを示します。
支払日は、就業規則などで決めた支払時期
労働者が退職し、本人が請求したときは、会社は7日以内に賃金を支払わなければなりません(労働基準法第23条第1項)。
ただし、退職金の支払時期が規程で決まっていれば、その時期に払えば足りると解されています。例えば規程に「退職後1か月以内に支給する」とあれば、その期限までは払わなくても違反になりません。
規程に支払時期が書かれていなければ、原則に戻ります。請求した日から数えて7日が支払の期限です。

中退共に加入している会社のとき
会社が中小企業退職金共済(中退共)に加入しているときは、退職金は中退共から本人の口座に直接振り込まれます。
請求書を兼ねた退職金共済手帳は、退職のときに会社から受け取ります。手帳を使って請求するのは本人です。
自己都合退職での減額は、規程の支給率で決まる
規程に計算式があれば、退職金の額はその式で決まります。退職の理由によって支給率を変えている規程もあります。
規程に根拠のない減額や不支給はできません。規程の計算式と支給率で支給額を計算し、実際に支払われた額と比べてください。
| 自己都合退職 | 懲戒解雇 | |
|---|---|---|
| 規程の定め方 | 退職の理由ごとに支給率を定める例がある | 全部又は一部を支給しないと定める例が多い |
| 減額の限度 | 規程の計算式と支給率による | 全額の不支給は、長年の勤務の功績を打ち消すほど重い違反行為がある場合に限られる |
懲戒解雇でも、全額がなくなるとは限らない
規程に「懲戒解雇の場合は支給しない」とあっても、懲戒解雇されたら必ず退職金がゼロになるわけではありません。
裁判所は、懲戒解雇の理由となった行為の重さを見ます。全額を支払わないことが認められるのは、長年の勤務の功績を打ち消すほど重い行為があったときに限られます。一部の減額も、功績を減らすほどの違反行為があるときに限られるとされています。
懲戒解雇そのものを争う方法は、「懲戒解雇されたら」の記事で説明しています。
請求は書面で。時効は5年
退職金の時効期間は5年で、請求できるようになった時から数えます(労働基準法第115条、附則第143条第3項)。5年が過ぎ、会社が時効を主張すると、支払を受けられなくなります(民法第145条)。退職金以外の賃金の時効は、当分の間3年とされています。
請求は、配達証明付きの内容証明郵便で書面を送る方法が使われます。請求したことの証拠が残るからです。
時効の完成前に請求の書面が届けば、その時から6か月間は時効が完成しません(民法第150条第1項)。再び請求しても、この期間は延びません。この猶予を使うときは、その6か月の間に労働審判の申立てや訴えの提起をします。
会社が支払に応じないときの手段
- 労働基準監督署に相談し、法律違反を申告する
- 労働局又は労働委員会のあっせんを申し込む
- 裁判所に労働審判を申し立てる、又は訴えを起こす
よくある質問
自己都合退職で退職金が減らされるのは違法ですか。
規程に自己都合退職の支給率が定められていれば、その率で計算されます。規程にない減額であれば、規程どおりに計算した額との差額を請求できます。
退職前に退職金規程を確かめたいときは、どうすればよいですか。
会社は、就業規則を作業場に掲示し、又は備え付けるなどして、労働者に周知させなければなりません(労働基準法第106条第1項)。退職金の定めも就業規則に記載するものなので、在職中に会社に見せるよう求めてください。
中退共の退職金は、誰に請求すればよいですか。
本人が中退共に請求します。会社が中退共に退職届を出し、退職金共済手帳を本人に渡します。受取先は、手帳で請求した本人名義の口座です。

相談の前に用意するもの
就業規則と退職金規程、労働条件通知書又は雇用契約書、給与明細を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

