閲覧数 11回
退職の日が来ているかより、どのような申出をして会社がどう答えたかで変わります
退職の申出は、会社が承諾する前なら撤回できるものと、会社に届いた後は一方的に撤回できないものに分かれます。退職日まで日数が残っているだけでは、撤回できるとは限りません。
この記事の結論
- 会社の承諾を求める合意退職の申込みか、一方的な辞職かを調べます。
- 合意退職の申込みは、会社の承諾まで撤回できるのが原則です。
- 脅されて提出した場合は、単なる撤回とは別に取消しの要件を検討します。
「退職届」という題名だけでは決まらない
書面の内容と提出した経緯によって、申出の性質を判断します。「退職願」と書けば必ず撤回でき、「退職届」と書けば必ず撤回できない、という決まりではありません。
会社に退職を認めてほしいと申し込むのが合意退職です。一方、会社の返答にかかわらず辞める意思を伝えるのが辞職です。
| 合意退職の申込み | 一方的な辞職 | |
|---|---|---|
| 退職の仕組み | 申込みに会社が承諾する | 本人の通知で契約を終了させる |
| 一方的な撤回 | 原則として会社の承諾前まで | 会社に意思表示が届くまで |
合意退職なら、会社が承諾したかを調べる
会社の承諾前なら、合意退職の申込みは原則として撤回できます。ただし、会社の承諾が既にあれば、退職日が先であっても本人だけの判断で合意をなくすことはできません。
提出先の上司が書面を預かっただけなのか、退職を承諾する権限がある人が承諾したのかも問題になります。受取印や社内の決裁日だけでなく、誰が何と答えたかを確かめます。
承諾があったかを判断するため、退職届の写し、会社の返信、面談の録音や記録を用意します。会社から退職を持ちかけられて応じた場合には、その提案と返答も含めて経緯を追います。

辞職の通知が会社に届いた後は
一方的な辞職は、会社に意思表示が到達すると、原則として本人だけでは撤回できません。会社の承認がまだ出ていないという理由で、自由に戻せるものではありません。
郵送して会社に届く前であれば、撤回を先に伝える余地があります。送付済みの書面を取り戻せるかだけでなく、撤回の連絡がいつ会社へ届いたかも問題になります。
既に到達している場合は、会社と退職を取りやめる合意をする方法があります。働き続けたい意思と希望を会社へ伝え、承諾を得られたら、その内容を書面やメールに残します。
脅されたり、だまされたりして出した場合
強迫や詐欺による退職の意思表示は、民法第96条の要件を満たせば取り消せます。会社に届いた、又は承諾済みという理由だけで、取消しまで否定されるわけではありません。
ただし、会社に強く退職を勧められた事実だけで、必ず強迫になるわけではありません。誰が、どの場面で、どのような発言をしたかという事情に沿って検討します。
誤った認識を基に提出した場合には、民法第95条の錯誤の要件を検討します。単に気が変わった場合と、重要な誤認があった場合とは別の問題です。
撤回したい意思は、待たずに伝える
撤回できる段階であれば、退職の申出を撤回し、勤務を継続したいことを会社へ伝えます。社内の手続が進むのを待つと、その間に承諾がされる可能性があります。
通知には、どの退職の申出を撤回するのかが分かるよう、提出日や書面を特定します。会社に伝えた内容と時期が分かるメール、書面、送付記録を残してください。
よくある質問
退職届を出した翌日なら撤回できる?
日数だけでは決まりません。合意退職の申込みなら会社の承諾前か、一方的な辞職なら会社への到達前かが問題になります。
会社が退職届を受理していなければ撤回できる?
「受理」という呼び方だけでは判断できません。単なる書面の受取か、退職を認める権限のある人による承諾かを検討します。
退職の撤回を会社が認めない場合は?
申出の性質、会社の承諾の有無、撤回を伝えた時点を調べます。強迫や詐欺があれば、その要件に基づく取消しも別に検討します。

相談するときに用意するもの
退職届の写し、会社の返答、撤回の連絡、提出前後のメールや録音を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。