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失業保険の給付日数と給付制限の違い、離職票の離職理由を争う手続を解説します
会社都合か自己都合かで、失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取れる日数と、受け取り始める時期が変わります。
離職理由を最終的に判定するのは、会社ではなくハローワークです。会社の書いた離職理由が事実と違えば、ハローワークに申し出ることができます。
この記事の結論
- 会社都合に当たる特定受給資格者には給付制限がなく、年齢と加入期間に応じて最大330日分の基本手当が支給されます(就職が困難な方を除く)。
- 正当な理由のない自己都合退職は、令和7年4月1日以降の退職なら原則1か月の給付制限があり、給付日数は最大150日です。
- 離職理由が事実と違うときは、受給手続の際にハローワークに伝えます。判定に不服があれば、雇用保険審査官に審査請求ができます。
「会社都合」は、雇用保険では主に「特定受給資格者」のこと
一般に「会社都合退職」と呼ばれるのは、雇用保険で「特定受給資格者」として扱われる離職です。
特定受給資格者は、倒産や解雇などのために、次の仕事を探す準備の時間もないまま離職した方です。
次のような理由で離職した方が、特定受給資格者に当たります。
特定受給資格者に当たる主な離職理由
- 会社の倒産や事業所の廃止
- 解雇(本人に重大な責任がある解雇は含まない)
- 会社からの退職の勧め(以前から常に設けられている早期退職優遇制度への応募を除く)
- 支払日を過ぎても受け取れない給料が、本来の額の3分の1を超えたこと
- 離職前6か月の間の長時間の残業(1か月で100時間を超えた場合など)
- 期間の定めのある契約を更新して引き続き3年以上雇用された後に、契約が更新されなかったこと
自分から辞めた場合でも、病気やけが、家族の看護、結婚に伴う転居で通勤が困難になったことなど、正当な理由があれば「特定理由離職者」に当たります。
失業保険の違いは、加入期間・給付制限・給付日数に出る
会社都合と、正当な理由のない自己都合とでは、失業保険の扱いが次のように違います。
| 会社都合(特定受給資格者) | 正当な理由のない自己都合 | |
|---|---|---|
| 必要な加入期間 | 離職前1年間に通算6か月以上 | 離職前2年間に通算12か月以上 |
| 待期 | 7日間 | 7日間 |
| 給付制限 | なし | 待期の後、原則1か月(令和7年4月1日以降の退職) |
| 給付日数 | 90日~330日(年齢と加入期間による) | 90日~150日(加入期間による) |
| 国民健康保険料(税)の軽減措置 | 対象 | 対象外 |
離職理由に関係なく、求職の申込み後に失業していた日が通算7日になるまでは、基本手当が出ません。これを待期といい、給付制限は待期の後もさらに支給を止める期間です。
正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を受けたことが、退職日前の5年間に2回以上ある方は、給付制限が3か月です。本人に重大な責任があって解雇された方(重責解雇)も、3か月の給付制限を受けます。
教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練などを離職前1年以内に受け終えた方は、給付制限が解除されます(途中で退校した場合を除く)。離職後に受ける方は、受講を始めた日から解除されます。いずれも、令和7年4月1日以降に受講を始めた訓練に限られます。申出の期限は認定日を基準に決まっているので、受講を始めたら早めにハローワークへ申し出てください。
特定理由離職者には、給付制限はかかりません。更新を希望したのに契約が更新されなかった方は、離職日が令和9年3月31日までなら会社都合と同じ給付日数です。それ以外の特定理由離職者の給付日数は、自己都合と同じです。
給付日数は、年齢と加入期間で決まる
基本手当を受け取れる日数は、離職時の年齢と、雇用保険に加入していた期間で決まります。45歳以上60歳未満の方を例にすると、次のとおりです。
| 加入期間 | 会社都合(特定受給資格者) | 正当な理由のない自己都合 |
|---|---|---|
| 1年以上5年未満 | 180日 | 90日 |
| 5年以上10年未満 | 240日 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 270日 | 120日 |
| 20年以上 | 330日 | 150日 |
会社都合の日数は年齢でも変わり、30歳未満の方は最大180日、60歳以上65歳未満の方は最大240日です。自己都合の日数は年齢によって変わりません。
障害のある方など就職が困難な方は、離職理由にかかわらず別の日数表によります。この記事の日数は、それ以外の方の日数です。
離職理由は、会社の記載ではなくハローワークが判定する
離職票の離職理由は会社が記入しますが、最終的に判定するのはハローワーク(公共職業安定所長)です。
退職の前に、会社から離職証明書へ名前を書くよう求められます。名前を書く前に、会社が書いた離職理由を読んでください。
離職証明書には、会社の選んだ離職理由に異議があるかどうかを本人が記入する欄があります。事実と違う理由が書かれていれば、「異議有り」に丸を付けます。
退職後に届いた離職票の離職理由が事実と違うときは、受給手続の際に、住所を管轄するハローワークの担当者にその旨を伝えます。
ハローワークは、本人と会社それぞれの主張や裏付けの資料を確かめて、離職理由を判定します。必要があれば、双方から改めて事情を聴きます。
厚生労働省が離職理由の裏付けとして挙げる書類の例
- 労働契約書
- 就業規則
- 賃金台帳
- 配置転換の辞令の写し

ハローワークの判定に不服があるときは審査請求ができる
ハローワークの離職理由の判定に不服があるときは、都道府県労働局の雇用保険審査官に審査請求ができます。期限は、次のとおり3か月以内です。
審査請求の期限の数え方
- 給付制限に当たるとされたことへの不服:基本手当を支給しない旨の処分を知った日の翌日から3か月以内
- 特定受給資格者に当たらないとされたこと(給付日数)への不服:基本手当の支給が終わった認定日の翌日から3か月以内
審査請求は文書でも口頭でもできます。処分をしたハローワークや、住所を管轄するハローワークを通じて出すこともできます。
雇用保険審査官の決定にも不服があるときは、労働保険審査会に再審査請求ができます(雇用保険法第69条第1項)。
退職金は、会社の規程で会社都合と自己都合の額が違うことがある
退職金の有無や額は、会社の退職金規程や就業規則の定めによります。
規程の中には、自己都合で退職した場合の額を、会社都合の場合より低く定めているものがあります。
退職金のある会社では、退職の前に規程を読み、どちらの扱いで計算されるかを会社に尋ねてください。
よくある質問
退職勧奨に応じて辞めたら、自己都合退職になりますか。
会社から退職を勧められて退職した場合は、特定受給資格者の基準に当たり、会社都合として扱われます。以前から常に設けられている早期退職優遇制度に応募した場合は当たりません。
自己都合で辞めると、2か月は失業保険を受け取れないと聞きました。本当ですか。
給付制限が原則2か月だったのは改正前の扱いです。令和7年4月1日以降の退職では、原則1か月です。
契約期間が満了し、更新されなかった場合は会社都合になりますか。
更新を重ねて引き続き3年以上雇用された後に更新されなかった場合や、契約時に更新すると明示されていた場合は、特定受給資格者に当たります。これらに当たらない方でも、更新を希望したのに合意に至らず離職した場合は、特定理由離職者に当たります。
会社が離職票を出してくれないときは、どうすればよいですか。
離職票が届かないときは、住所地のハローワークに相談できます。会社が交付しない場合のほか、会社と連絡が取れない場合も同じです。

相談の前に用意するもの
離職票、労働契約書、就業規則など、離職理由に関係する書類を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

