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「3年」という目安の意味と、家庭内別居・単身赴任の扱いを解説します
相手が離婚を拒んで裁判になると、別居が長く続いていることが、夫婦関係が壊れていることを示す事情になります。
法律に年数の定めはありません。夫婦のどちらにも不貞や暴力などの責任がない場合、裁判の実務では、おおむね3年の別居が一つの目安とされています。
この記事の結論
- 話合いや調停で夫婦が合意すれば、別居期間の長さにかかわらず離婚できます。年数が問題になるのは、相手が拒んで裁判になったときです。
- 裁判では、相当の期間の別居が、夫婦関係が壊れていることを示す事情になります。どちらにも責任がない場合の目安は、現在おおむね3年とされています。
- 別居の前に、相手の収入や財産が分かる資料の写しを取っておきます。別居中の生活費(婚姻費用)は、別居したら早めに請求します。
別居期間が問題になるのは、裁判で離婚を求めるとき
夫婦は、話合いで離婚することができます(民法第763条)。話合いでの離婚に、別居期間の定めはありません。
相手が応じないときは、まず家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。離婚の裁判を起こす前に、原則として調停を経る必要があります(家事事件手続法第257条第1項)。
裁判で離婚が認められるのは、民法第770条第1項に定める離婚原因があるときです。長い別居は、その第4号の「重大な事由」に当たるかどうかの判断材料になります。
民法第770条第1項の離婚原因(要旨)
- 第1号 相手が不貞をした
- 第2号 相手が正当な理由なく、同居や生活費の負担などの義務を果たさない(悪意の遺棄)
- 第3号 相手の生死が3年以上分からない
- 第4号 ほかに、結婚生活を続けることが難しい重大な事由がある
裁判では、おおむね3年の別居が一つの目安
夫婦には同居する義務があります(民法第752条)。そのため、別居が相当の期間続くと、それだけで夫婦関係の破綻が事実上推定されると考えられています。
どれくらいが「相当の期間」かは、法律に定めがありません。以前の実務では、おおむね5年以上が目安とされていました。
現在の実務では、別居がおおむね3年以上に及べば、特別な事情がない限り、夫婦関係の破綻が認められるのが通常とされています。
例えば、東京高等裁判所平成29年6月28日判決(家庭の法と裁判14号70頁)は、別居が3年5か月以上続いたことなどを理由に、夫婦関係の破綻を認めました。
別居期間は、裁判の審理が終わる時点(口頭弁論の終結時)までの長さで見られます。訴えを起こした時点で3年に満たなくても、審理の間に期間は延びていきます。

目安より短くても認められる場合、長くかかる場合
3年という目安は、夫婦のどちらにも不貞や暴力などの責任がない場合の話です。夫婦の事情によって、求められる別居期間は変わります。
| 事情 | 目安より短くても認められやすい | 目安より長い別居が求められやすい |
|---|---|---|
| 破綻の責任 | 相手に不貞や暴力などがある | 離婚を求める自分が、不貞などで関係を壊した |
| 婚姻期間 | 婚姻期間が短い | 円満に暮らした期間が長い |
相手の不貞や暴力などは、その行為自体が夫婦関係の破綻を強く推認させます。そのため、別居が短くても離婚が認められることがあります。
反対に、不貞などで夫婦関係を壊した側(有責配偶者)から離婚を求める場合は、3年よりかなり長い別居が求められます。この場合の条件は、有責配偶者からの離婚請求の記事で扱っています。
相手に不貞や暴力などがなく、別居もまだ短いときは、裁判で離婚を求めても認められにくいとされています。
家庭内別居と単身赴任は、別居期間に数えにくい
離婚の理由として数えられる別居は、夫婦の関係が悪くなったことによる別居です。合意のうえの単身赴任のように、正当な理由のある別々の生活は当たりません。
同じ家で暮らしながら顔を合わせない家庭内別居も、外からは同居と区別しにくく、別居とは評価されにくいとされています。
裁判では、別居期間の長さだけでなく、別居に至った経緯も主張することになります。
経緯は、不貞や暴力のような重い事情に限りません。性格や価値観の違いなどから別居し、別居が相当の期間に及んでいれば、破綻が認められるのが通常とされています。
別居の前に準備すること
正当な理由なく、相手に告げずに家を出て生活費も渡さないと、相手から「悪意の遺棄」(民法第770条第1項第2号)だと主張されるおそれがあります。
別居の前に、相手の収入や財産が分かる次のような資料の写しを取っておきます。
別居の前に写しを取っておく資料
- 相手の給与明細、源泉徴収票
- 預貯金の通帳
- 生命保険の証券
- 不動産や証券取引に関する書類
別居中の生活費は、婚姻費用として、収入の多い側に分担を求めることができます(民法第760条)。
家庭裁判所の実務では、婚姻費用は請求した時からの分を認めることが多く、それより前の分は認められにくいとされています。別居したら早めに請求します。
調停の申立て前でも、内容証明郵便で支払を求めた時からの婚姻費用の分担を認めた審判例があります。請求の方法は、婚姻費用の記事で扱っています。
よくある質問
別居して1年で離婚できますか。
相手が合意すれば、話合いや調停で離婚できます。裁判では、相手に不貞や暴力などがなく別居もまだ短いと、認められにくいとされています。ただし、婚姻期間がごく短い夫婦では、3年より短い別居でも認められることがあるとされています。
家庭内別居でも別居期間に数えられますか。
同じ家での家庭内別居は、外からは同居と区別しにくく、裁判では別居と評価されにくいとされています。
単身赴任の期間は別居期間に入りますか。
夫婦の合意による単身赴任は、正当な理由のある別々の生活なので、離婚の理由になる別居には当たりません。
別居したら悪意の遺棄になりますか。
別居したことだけで当たるわけではありません。正当な理由なく家を出て、生活費も渡さないような場合に問題になります。

相談の前に用意するもの
弁護士に相談するときは、別居を始めた日と婚姻期間を書き出し、相手の収入や財産が分かる資料を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

