閲覧数 10回
結婚していない二人の物の分け方と、部屋の契約の扱いを解説します
結婚の意思のない同棲には、離婚のときの財産分与のような、二人の財産をまとめて分ける決まりがありません。家具・家電は、誰が代金を出したかを基に分け方を話し合います。部屋は、契約の名義を踏まえて、退去や契約の引継ぎを決めます。
この記事の結論
- 家具・家電が誰の物かは、誰が代金を出したか、相手に贈った物かで決まります。二人で出し合って買った物は共有で、割合が分からなければ半分ずつと推定されます。
- 部屋の契約の当事者は名義人です。名義人が出て行き、もう一方だけが住み続けるには、大家の承諾が要ります。
- 相手の引っ越し費用を負担する法律上の義務は、別れたことだけでは生じません。費用の分担は話合いで決め、書面に残します。
結婚の意思のない同棲には、財産分与の決まりがない
内縁に当たらない同棲には、夫婦の財産に関する民法の決まりは当てはまりません。離婚のときのように、財産分与で二人の財産をまとめて分ける仕組みもありません。
夫婦として暮らす意思があり、内縁と認められるときは、家庭裁判所の調停で、関係の解消とあわせて財産分与も話し合えます。この記事は、内縁に当たらない同棲を対象にしています。
家具・家電は誰の物か
家具・家電は、原則として代金を出した人の物です。ただし、相手に贈った物は、贈った時点で相手の物になります。
二人でお金を出し合って買った物は、二人の共有です。それぞれの持分の割合が分からないときは、民法第250条により、半分ずつと推定されます。
| 誰の物になるか | |
|---|---|
| 一人が自分のために代金を払った物 | 原則として、代金を払った人の物 |
| 二人で代金を出し合った物 | 二人の共有。割合が分からなければ半分ずつと推定 |
| 相手に贈った物 | 贈られた人の物 |
誰が代金を払ったかを示す記録の例
- レシートや領収書
- クレジットカードの利用明細
- 通信販売の購入履歴
共有の物は、話合いで分け、まとまらなければ裁判所へ
共有の物は、分けない約束をしていない限り、いつでも分けるよう相手に求めることができます(民法第256条第1項)。話合いがまとまらなければ、裁判所に分割を求めることができます(民法第258条第1項)。
裁判所は、物そのものを分ける方法のほか、一方が物を取得して他方にお金を払う方法を命じることができます。これらの方法で分けられないときは、競売を命じることができます(民法第258条第2項・第3項)。
相手の物を勝手に処分せず、鍵を替えて締め出さない
相手の物を無断で捨てたり壊したりすると、損害賠償を求められるほか、器物損壊罪(刑法第261条)に当たるおそれがあります。
部屋の名義人であっても、裁判所の手続を経ずに鍵を替えて相手を締め出すことは、原則として許されません。相手の荷物を勝手に運び出すことも同じです。
賃貸の部屋の解約と契約の引継ぎは、名義人と大家の間で決まる
大家と賃貸借契約を結んでいるのは名義人です。解約などの手続は、原則として名義人が行います。
名義人が出て行き、もう一方だけが住み続けたいときは、大家の承諾を得て、契約を引き継ぐか、新しく契約を結ぶ必要があります。借りている人は、大家の承諾なしに、借りる権利を他人に譲ることができないからです(民法第612条第1項)。

敷金は名義人に返り、原状回復の義務も名義人が負う
借りた後に生じた部屋の傷みを、退去のときに元に戻す義務(原状回復)を大家に対して負うのは、借りている名義人です。民法の原則では、通常の使い方による傷み、年数による劣化、借主に責任のない傷みは、元に戻す対象に含まれません(民法第621条)。
契約が終わって部屋を明け渡したときは、未払いの家賃などを差し引いた敷金の残りが、大家から名義人に返されます(民法第622条の2第1項)。
引っ越し費用の分担を話し合い、決めたことは書面に残す
別れることになったからといって、相手の引っ越し費用を負担する法律上の義務が当然に生じるわけではありません。退去の費用や引っ越し費用を二人でどう分けるかは、話合いで決めます。
話合いで決めた内容は、合意書にして二人で署名しておきます。
合意書に書いておく事項の例
- それぞれが引き取る家具・家電
- 支払う金額と支払の期限
- 退去の日と、鍵の返し方
よくある質問
同棲を解消したら、家具代の半分を相手に請求できますか。
同棲していたという理由だけで、相手が自分のために買った物の代金の半分を求めることはできません。二人で出し合って買った物は共有なので、分け方を話し合えます。
相手が置いていった荷物を処分してもよいですか。
相手の物を無断で捨てると、損害賠償を求められたり、器物損壊罪に当たったりするおそれがあります。処分する前に、相手の同意を得てください。
名義人の相手が出て行った後、名義人ではない自分が住み続けられますか。
二人の間で合意するだけでは足りず、大家の承諾を得て、契約を引き継ぐか、自分の名義で新しく契約を結ぶ必要があります。

相談の前に用意するもの
賃貸借契約書と、家具・家電の代金を払った記録(レシート、クレジットカードの利用明細など)を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

