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一括で払えない場合の交渉から、放置した場合の差押えと自己破産まで解説します
請求された慰謝料を一括で払えないときは、払える額とその根拠を示して、分割払いや減額を相手と話し合います。
この記事の結論
- 慰謝料は一括払いが原則です。話し合いで分割払いにするには、請求した側の同意が要ります。
- 請求を放置して判決が出ると、給料や預金を差し押さえられることがあります。給料から差し押さえられるのは、原則として税金などを引いた額の4分の1までです。
- 自己破産で免責されると、不貞の慰謝料も原則として払う責任を免れます。相手を害する積極的な意図があったときは、免責されません。
分割払いには相手の同意が要る
請求された側が、一方的に分割払いに変えることはできません。話し合いで分割払いにするには、請求した側の同意を得る必要があります。
例外として、60万円以下の請求を扱う少額訴訟では、裁判所が判決で分割払いを定めることがあります。
話し合いでは、毎月いくらなら払えるのかと、その額になる理由を具体的に伝えます。減額を求めることもできますが、応じるかどうかは相手が決めます。
払える額の根拠として示す資料の例
- 給与明細や源泉徴収票
- 預貯金通帳の写し

分割の合意書は、遅れたときの定めを読む
分割払いの合意書には、支払が遅れたら残りを一括で払う約束がよく入ります。法律では「期限の利益の喪失」と呼ばれる定めです。
署名する前に、どのような遅れで残りを一括で払うことになるのかを、合意書で確かめます。1回の遅れで一括になる定めなら、毎月の額を確実に払えるかを考え直します。
合意を公正証書にし、直ちに強制執行を受け入れる旨を書くと、裁判を経ずに差押えができる書面になります。支払が滞れば、給料や預金を差し押さえられることがあります。
放置すると、裁判から差押えへ進む
請求に応じないでいると、相手から訴えを起こされることがあります。答弁書を出さずに裁判の期日も欠席すると、相手の主張どおりの判決が出るおそれがあります。
判決が確定すると、相手はそれに基づいて差押えを申し立てられます。給料については、法律が差し押さえてよい範囲を決めています。
| 差し押さえられる額 | 手元に残る額 | |
|---|---|---|
| 44万円以下 | 4分の1 | 4分の3 |
| 44万円を超える | 33万円を超える部分の全部 | 33万円 |
差押えをしても全額を回収できないときなどは、相手が財産開示手続を申し立てることがあります。呼出しを受けた期日に正当な理由なく出頭しないと、6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象になります。
自己破産と慰謝料の免責
裁判所の免責許可決定が確定すると、破産者は原則として債務を払う責任を免れます。ただし、破産法第253条第1項第2号は、悪意で加えた不法行為による損害賠償を免責の対象から外しています。
この「悪意」は、わざと不法行為をしたというだけでは足りず、相手を害する積極的な意図をいうと解されています。そのため、通常の不貞の慰謝料は、免責の対象になると考えられています。
配偶者を苦しめること自体を狙って不貞をしたといえる事情があれば、免責されないことがあります。
よくある質問
不倫の慰謝料を払えないとき、親が代わりに払う義務はありますか。
親や兄弟には、原則として支払義務はありません。ただし、連帯保証人になっていれば、保証人として責任を負います。
自己破産の債権者一覧表から、慰謝料を請求している人を外せますか。
外してはいけません。自己破産の申立てでは、債権者の一覧表を裁判所に出します。知りながら一覧表に載せなかった請求権は、免責されません。ただし、その債権者が破産手続の開始を知っていたときは除きます。
判決で決まった慰謝料の時効は何年ですか。
慰謝料の支払を命じる判決が確定すると、その請求権の時効期間は10年になります。

相談するときに用意するもの
届いた請求書や訴状などの書面と、給与明細や通帳の写しを用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

