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額の出し方、支払の終わり、決めずに離婚したとき、払われないときを解説します
離婚した後も、父母は経済力に応じて子の養育費を分担します。額の目安の出し方、支払の終わり、取決めの方法、払われないときの手段を順に説明します。
この記事の結論
- 額の目安は、裁判所が公表する算定表で、父母双方の年収と子の人数・年齢から出します。
- 成年年齢が18歳になっても、養育費が当然に18歳で終わるわけではありません。大学生の子は、卒業まで支払義務が続くことも多いとされています。
- 取決めは父母の話合いで行い、まとまらなければ家庭裁判所の調停・審判で決めます。
- 令和8年4月1日以降に養育費を決めずに離婚した場合、未成年の子を主に育てる親は、子1人につき月2万円の法定養育費を請求できます。
養育費は、親が子を養う義務に基づく
子を扶養する責任は、親権者かどうか、父母が結婚しているかどうかで変わりません。離婚した後も、父母はそれぞれの経済力に応じて養育費を分担します。
民法第766条第1項は、協議離婚のときに、子の監護に要する費用の分担を父母の協議で定めるとしています。決める際に何より重視すべきなのは、子の利益です。
この義務は、自分と同じ程度の生活を子にも保たせる義務(生活保持義務)と解されています。
額の目安は算定表で出す
裁判所は、標準的な養育費を簡単に求めるための算定表を公表しています。養育費の表は全部で9枚です。子が何人か(1人から3人)と、それぞれ14歳以下か15歳以上かで、使う表を選びます。
縦軸で支払う親の年収を、横軸で子を育てる親の年収を探します。二つが交わる欄が、標準的な月額です。
表の額は幅をもって示されています。幅は、支払う親の年収が低い所では1万円、ほかは2万円です。
給与所得者の年収は、源泉徴収票の「支払金額」(控除前の額)です。自営業者は、確定申告書の「課税される所得金額」に、実際には支出していない控除の額を加えます。
児童手当や児童扶養手当は子のための給付なので、子を育てる親の年収に含めません。
裁判所の説明書にある計算例
7歳と10歳の子を育てる親の年収が約203万円、支払う親の年収が約715万円の例です(いずれも給与)。
子2人(ともに0〜14歳)の表で200万円と725万円の欄を見ると、標準的な額は月10万〜12万円の枠内です。
最終的な額は、個別の事情も考えて決まります。ただし、通常の事情は表の幅の中で考慮済みとされています。幅を超える額になるのは、表によると著しく不公平になる特別な事情がある場合に限られるとされています。

支払は何歳までか
養育費は、自分の力で生活できない子(未成熟子)のための費用です。終わりの時期を決める際は、子がいつ未成熟子でなくなるかを考えます。未成熟子かどうかは、成年になったかどうかと必ずしも一致しません。
成年年齢が引き下げられる前の実務では、終わりを子が20歳に達する時(又はその月)とする例が多いとされています。
成年年齢は令和4年4月1日から18歳になりました。それでも法務省は、養育費の支払期間が当然に18歳までになるわけではないとしています。引下げ後も、20歳を終わりとしてよいとする考え方が示されています。
引下げ前に「成年に達するまで」と決めていた場合は、決めた当時の成年年齢である20歳まで支払う義務があると考えられています。
大学に通う子については、卒業まで支払義務が続くことも多いというのが法務省の見方です。
これから決めるときは、「22歳に達した後の3月まで」のように終わりの時期をはっきり書くことが望ましいと、法務省は説明しています。
取決めの方法 ― 話合い、公正証書、調停
養育費の額、支払日、終わりの時期は、まず父母の話合いで決めます。
話合いの内容は、公証人が作る公正証書にすることができます。相手が直ちに強制執行に服すると述べた文言があれば、裁判を経ずに差押えを申し立てられます(民事執行法第22条第5号)。
話合いがまとまらないときは、子を育てる親が家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てられます。調停が不成立になると審判に移り、裁判官が判断します。
養育費請求調停の申立て
- 申立先:相手の住所地を受け持つ家庭裁判所(父母が合意すれば、合意した家庭裁判所)
- 費用:子1人につき収入印紙1200円分と、連絡用の郵便切手
取決めがなかった過去の期間の分は、調停や審判では、原則として請求した時以降の分が認められるとされています。
決めずに離婚したとき ― 法定養育費
令和8年4月1日以降に、養育費を決めないまま離婚した場合の制度です。離婚の時から引き続き未成年の子を主に育てている親は、他方の親に法定養育費を請求できます(民法第766条の3)。
額は子1人につき月2万円です。離婚の日から生じ、毎月末に支払を求められます。離婚した月と、終わる月は日割りで計算します。
法定養育費が生じるのは、父母が養育費を取り決めた日、養育費の審判が確定した日、子が18歳になった日のうち、最も早い日までです。
支払う側は、支払う力がないことや、払うと生活が著しく苦しくなることを証明すれば、全部又は一部の支払を拒めます。
月2万円は、正式に決まるまでのつなぎの額にすぎず、養育費の相場を示すものではありません。未払の法定養育費は、話合いや調停で養育費を取り決める際に、併せて決められます。
離婚が令和8年3月31日以前なら、この制度は使えません。
払われないとき ― 給料などの差押え
取り決めた養育費が払われないときは、相手の給料や預金などの差押えを申し立てられます。差し押さえられる範囲は、取決めの形で違います。
| 差押えを申し立てられる範囲 | |
|---|---|
| 調停調書・確定した審判・強制執行を受け入れる文言のある公正証書 | 取り決めた全額 |
| 父母だけで作った合意書(毎月の額と支払日を決めたもの) | 取り決めた額のうち、子1人につき月8万円までの部分(令和8年4月1日以降に生じた分。民法第308条の2の先取特権による) |
給料は、税金などを引いた手取額の2分の1まで差し押さえられます。手取額が月66万円を超えるときは、33万円を残した額が上限です。
一部でも支払が滞れば、まだ支払日が来ていない将来の分についても、給料などの差押えを申し立てられます(民事執行法第151条の2)。対象は、それぞれの支払日より後に支払われる給料などです。
決めた額は後から変えられる
一度決めた養育費も、その後に事情が変わったときは、額の変更を求める調停や審判を申し立てられます。裁判所は、再婚した場合や子が進学した場合を例に挙げています。
事情の変化を理由に額を変えるには、取決めの前提に重要な変化があり、元の額を保つのが相当でなくなったことが必要とされています。
公正証書で決めた額も、相手の了解を得るか、調停・審判を経て変えることになります。
よくある質問
養育費は子どもが18歳になったら打ち切られますか。
成年年齢が18歳になったことを理由に、当然に打ち切られることはありません。終わりは取り決めた時期によります。ただし、取決めがなく法定養育費を受け取っている場合は、子が18歳になった日に終わります。
離婚の時に養育費を決めなかった場合、後から請求できますか。
できます。子を育てる親は、離婚後も家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てられます。調停や審判で決める場合、支払を求められるのは、原則として請求した時以降の分とされています。令和8年4月1日以降の離婚なら、取り決めるまでの間、未成年の子について法定養育費が離婚の日から生じます。子が18歳になった時点で、法定養育費は終わります。
子を育てる親が再婚し、子が再婚相手と養子縁組をしたら養育費はどうなりますか。
養親が子を扶養する第一の義務者になるため、通常は養育費の減額(場合によっては免除)の理由になります。減額は、話合い又は調停・審判で決めます。

養育費請求調停の申立てに要る主な資料
子の戸籍謄本と、申立人の源泉徴収票や確定申告書などの収入資料の写しです。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

