不倫をした側から離婚できるか ― 有責配偶者からの離婚請求が認められる条件

岩の上に置かれたふた付きの懐中時計 離婚・男女問題

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相手が応じないときに裁判で見られる別居の長さ・未成熟の子の有無・相手の生活

不倫をした側からでも、相手が合意すれば離婚できます。不倫で夫婦関係を壊した有責配偶者の場合、相手が応じず裁判になると、離婚請求は原則として認められません。別居の長さや子の状況などによっては認められます。

有責配偶者とは、夫婦関係を壊した主な責任がある側

有責配偶者とは、不倫などによって夫婦関係が壊れたことについて、専ら又は主に責任がある配偶者をいいます。

不倫をした時点で夫婦関係が既に壊れていた場合は、その不倫が破綻の原因とはいえません。ほかに主な破綻の原因がなければ、その不倫を理由に有責配偶者とはされません。

協議や調停では、相手が合意すれば離婚できる

民法第763条は、夫婦はその協議で離婚できると定めています。離婚の理由やどちらに責任があるかは、協議離婚の要件ではありません。協議離婚は、離婚届を出すことで成立します(民法第764条・第739条)。

話合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停で話し合います。調停で合意し、調書に記載されると、確定判決と同じ効力を持ちます(家事事件手続法第268条第1項)。

裁判では原則として認められず、三つの事情で例外を判断する

相手が応じずに離婚の裁判になると、有責配偶者からの請求は、信義誠実の原則(信義則)に照らして原則として退けられます。

最高裁判所昭和62年9月2日大法廷判決・民集41巻6号1423頁は、それまでの判例を変更し、例外として認められる場合を示しました。

例外として離婚が認められるために見られる事情

  • 別居が、夫婦の年齢と同居していた期間に比べて相当の長期間に及んでいること
  • 夫婦の間に未成熟の子がいないこと
  • 離婚すると相手が精神面・社会生活・経済面で非常に苦しい立場に追い込まれるなど、離婚を認めることが社会正義に著しく反する特段の事情がないこと

この判決の事案は、夫が他の女性と暮らし始めてから約36年間別居しており、未成熟の子はいませんでした。最高裁判所は、特段の事情がない限り請求を認めるべきだとし、その事情を審理させるため事件を高等裁判所に差し戻しました。

別居の長さは、おおむね10年以上が目安

別居が何年続けばよいかは、法律にも判決にも年数で定められていません。判決は、夫婦の年齢と同居していた期間に比べて長いかどうかで判断するとしています。

家庭裁判所の実務では、おおむね10年以上の別居が目安とされています。

10年に満たなくても、8年程度の別居で認められる場合があるとされています。不倫をした側の責任の程度が低く、別居中の生活費の支払や財産分与・慰謝料について誠意ある対応や提案をしている場合です。

卓上カレンダーの日付にペンで丸を付ける手元
別居の長さは、夫婦の年齢と同居していた期間に比べて判断されます。

未成熟の子が中学生以下なら、原則として認められない

未成熟の子とは、親の監護がなければ生活を保てない子をいいます。未成年かどうかとは必ずしも一致せず、就職して自立した子は当たらないと解されています。

未成熟の子がまだ中学生以下で、監護が必要な期間が何年も残っている場合は、原則どおり離婚は認められません。

未成熟の子が高校生以上であれば、離婚が認められることがあります。有責配偶者の責任の程度、別居期間の長さ、子の監護や経済の状況などを踏まえて判断されます。

離婚を求められた側は、合意しなければ協議でも調停でも離婚は成立しない

協議離婚も調停離婚も、夫婦の合意が前提です。不倫をされた側が合意しなければ、どちらの方法でも離婚は成立しません。

別居中も、夫婦は資産や収入などを考慮して生活費(婚姻費用)を分担します(民法第760条)。

判決は、離婚によって相手が受ける経済的な不利益は、本来は財産分与や慰謝料で解決されるべきものだとしています。

よくある質問

有責配偶者でも協議離婚はできますか。

できます。相手が合意し、離婚届を出せば成立します。

調停をしないで、いきなり離婚の裁判を起こせますか。

原則としてできません。離婚の訴えを起こす前に、家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります(家事事件手続法第257条第1項)。

有責配偶者は別居何年で離婚できますか。

法律に年数の定めはなく、夫婦の年齢と同居期間に比べて判断されます。家庭裁判所の実務の目安は、おおむね10年以上です。


相談の前に用意するもの

相談の前に用意するもの

弁護士に相談するときは、同居を始めた日、別居を始めた日、子の生年月日、別居後に支払った(受け取った)生活費の記録を用意してください。

本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

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