閲覧数 15回
雇止めが制限される二つの場合、会社の予告と理由の証明書、雇止めを告げられたときの動き方を解説します
労働契約法第19条は、一定の有期労働契約について雇止めを制限しています。更新を繰り返して雇止めが無期契約の解雇と同じといえる場合と、更新を期待する合理的な理由がある場合です。
この記事の結論
- 第19条に当たる契約で労働者が更新を申し込んだときは、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない雇止めは認められません。
- 雇止めが認められないときは、会社が、前の契約と同じ労働条件で更新の申込みを承諾したものとみなされます。
- 雇止めを告げられたら、更新を希望すると会社に伝えます。予告の対象となる契約では、更新しない理由の証明書を求めれば、会社は遅滞なく交付しなければなりません。
雇止めと、契約期間の途中の解雇は別のもの
雇止めとは、会社が有期労働契約の更新を拒むことをいいます。契約期間の途中で辞めさせる解雇とは、法律の決まりが違います。
| 契約期間の途中の解雇 | 期間満了時の雇止め | |
|---|---|---|
| 時期 | 契約期間が終わる前 | 契約期間が終わるとき |
| 法律の決まり | やむを得ない事由がなければ解雇できない(労働契約法第17条第1項) | 一定の場合に、客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当でない雇止めは認められない(労働契約法第19条) |
雇止めが制限されるのは二つの場合
労働契約法第19条の対象は、次のどちらかに当たる有期労働契約です。
労働契約法第19条の対象になる契約
- 契約の更新が繰り返され、雇止めが、期間の定めのない契約(無期契約)の労働者を解雇するのと社会通念上同じといえる場合(第1号)
- 契約期間が終わるときに更新されると期待することについて、合理的な理由がある場合(第2号)
どちらに当たるかは、次のような事情を総合して判断されます。
判断の要素
- 仕事が臨時のものか、継続して必要なものか
- これまでの更新の回数と、最初の契約からの通算期間
- 更新のたびに契約書を交わしていたかなど、更新手続の実際
- 上司や会社から、更新を期待させる言葉があったか
これに当たる契約で、雇止めに客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められないときは、雇止めは認められません。会社は、前の契約と同じ労働条件で更新の申込みを承諾したものとみなされます。
この条文は、最高裁判所の判例で確立していた雇止めの考え方(雇止め法理)を、内容を変えずに法律に定めたものです。
後から更新の上限を告げられても、それだけで保護は否定されない
更新への期待に合理的な理由があるかは、最初の契約を結んだときから、更新を拒まれた契約が終わるときまでの事情を総合して判断されます。
労働者が更新への合理的な期待を持った後に、会社が一方的に更新の回数や年数の上限を告げることがあります。そのことだけで、第19条第2号の保護が否定されるわけではありません。
令和6年4月からは、会社は有期労働契約を結ぶときと更新するときに、更新の上限の有無とその内容を明示しなければなりません。最初の契約の後に上限を新しく設けたり短くしたりするときは、その理由をあらかじめ説明しなければなりません。

会社に求められる予告と、理由の証明書
予告の対象は、3回以上更新した契約か、雇われた日から1年を超えて続けて働いている人の契約です。会社は、この契約を更新しないときは、契約期間が終わる日の30日前までに予告しなければなりません。あらかじめ、その契約を更新しないと明示されていた場合は除かれます。
この予告の対象となる契約では、更新しない理由について証明書を求めると、会社は遅滞なく交付しなければなりません。雇止めの予告を受けた後でも、雇止めされた後でも求められます。
これらは、厚生労働省の告示(有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準)が定めています。
雇止めを告げられたら、更新を希望すると伝える
第19条の保護は、労働者が契約期間の終わる日までに更新を申し込むか、期間が終わった後に遅滞なく契約の締結を申し込んだことが前提です。
申込みに決まった形式はありません。雇止めに反対する意思が、何らかの形で会社に伝われば足ります。期間が終わった後の申込みが遅れても、正当な理由や合理的な理由による遅れであれば許されます。
雇止めで離職したときの雇用保険の区分
ハローワークの基準では、雇止めで離職した人のうち、次に当たる人は特定受給資格者又は特定理由離職者になります。
| 当たる場合 | 区分 | |
|---|---|---|
| 通算3年以上 | 更新により3年以上続けて雇われ、契約が更新されないことになって離職した | 特定受給資格者 |
| 更新の明示あり | 契約を結ぶときに更新すると明示されていたのに、更新されないことになって離職した | 特定受給資格者 |
| 更新を希望 | 上の二つに当たらず、本人が更新を希望したのに合意に至らず、期間満了で離職した | 特定理由離職者 |
1段目と2段目に当たらず、契約書に「更新する場合がある」とあるだけで更新の確約がない場合は、3段目の基準で扱われます。3段目に当たるには、本人が更新を希望したのに合意に至らなかったことが必要です。
よくある質問
一度も更新されていない契約でも、雇止めを争えますか。
労働契約法第19条第2号は、更新の回数を条件にしていません。更新を期待することに合理的な理由があれば対象になります。更新の回数は、その判断の要素の一つです。
有期契約の通算期間が5年を超えるとどうなりますか。
原則として、同じ会社との有期労働契約が更新され、通算の契約期間が5年を超える労働者は、無期契約への転換を申し込めます。申込みは、今の契約が終わる日までにします。会社は申込みを承諾したものとみなされ、今の契約が終わった日の翌日から無期契約になります(労働契約法第18条第1項)。大学等の研究者や、定年後に引き続き雇われる人などには、法律で特例が設けられています。
公務員の非常勤職員にも労働契約法第19条は使えますか。
労働契約法は、国家公務員と地方公務員には適用されません(第21条第1項)。

相談の前に用意するもの
これまでの全ての契約書(労働条件通知書)、雇止めの予告や通知、更新しない理由の証明書を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。
