婚約破棄で慰謝料を請求できるのはどんなときか ― 正当な理由・請求できるもの・時効

白い花を飾った黒い車の前部 離婚・男女問題

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婚約の成立から、慰謝料の目安、結納の扱い、請求の期限まで解説します

婚約が成立した後、相手が正当な理由なく一方的に破棄したときは、慰謝料と、結婚の準備に使った費用の賠償を求めることができます。

この記事の結論

  • 婚約は当事者の合意だけで成立します。争いになったときは、メールや婚約指輪、親族への紹介などで合意を示します。
  • 正当な理由のない破棄であれば、慰謝料と、婚約指輪代や新婚旅行のキャンセル料などの費用を請求できます。
  • 不法行為として請求するなら、損害と相手を知った時から3年で時効になります。約束違反として請求するなら、令和2年4月1日以降の婚約では、請求できると知った時から5年です。

婚約は口約束でも成立する

二人がそう遠くないうちに結婚すると約束し合えば、それで婚約は成り立ちます。結納、婚約指輪、書面は、婚約が成立するための条件ではありません。

一緒に暮らしていることも条件ではありません。この点で、夫婦同然の生活をしている内縁とは違います。

ただし、「いつか結婚したい」と話していただけでは、婚約とは認められません。

婚約が成立していたことを示す資料の例

  • 結婚の時期や準備について話し合ったメールやLINE
  • 婚約指輪の購入と受渡しの記録
  • 両親や親族、友人への紹介や結婚の報告

慰謝料を請求できるのは、正当な理由のない破棄

婚約した一方が正当な理由なく結婚を拒んだときは、婚約破棄として損害賠償を請求できます。法律上は、約束違反(債務不履行)としても、不法行為としても請求できます。

破棄の理由正当な理由に当たるか
相手が婚約中に別の人と性的関係を持った当たると考えられやすい
相手からの暴力当たると考えられやすい
性格が合わない当たらないとされやすい
親に反対されている当たらないとされやすい
容姿が気に入らない、年齢が離れている当たらないとされやすい
破棄の理由ごとの扱い(裁判例や法律事務所の解説に見られる例)

反対に、破棄に正当な理由があるときは、破棄した側に慰謝料を求めることは原則としてできません。

請求できるのは慰謝料と、結婚の準備に使った費用

賠償の対象は、精神的な苦痛に対する慰謝料と、婚約したことで支出した費用です。

費用として請求の対象になり得るもの

  • 婚約指輪の代金
  • 結婚披露宴に関する費用
  • 新婚旅行のキャンセル料
  • 同居に向けた準備の費用
書類を手に取って読む人の手元
書類を手に取って読む人の手元です

慰謝料の額は事案ごとに決まる

法律事務所の解説には、50万円から200万円程度を目安とするものや、30万円から300万円を相場とするものがあります。

幅が広いのは、額が事案ごとの事情によって大きく変わるためです。

結納金を返してもらえるかは、どちらが婚約を破棄したかで変わる

結納金を受け取った側が婚約を破棄したときは、渡した側は返還を求めることができます。

反対に、結納金を渡した側に破棄の責任があるときは、返還を求めることは認められません。

相手が既婚者だったとき

相手に配偶者がいたときは、結婚の約束をしていても法律上は効力がありません。そのため、原則として婚約破棄の責任は問えません。

ただし、相手が独身だと偽っていたときや、夫婦関係が破綻しているかのように偽っていたときは、損害賠償を請求できる余地があります。

請求には期限がある

不法行為として請求するときは、損害と相手を知った時から3年で時効になります。婚約破棄の時から20年が先に過ぎたときも同じです(民法第724条)。

約束違反として請求するときは、請求できると知った時から5年で時効になります。請求できる時から10年が先に過ぎたときも同じです(民法第166条第1項)。

令和2年3月31日以前に婚約していたときは、改正前の民法により、請求できる時から10年です(民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)附則第10条第1項・第4項)。

相手に支払を求めること(催告)をすると、その時から6か月間は時効が完成しません(民法第150条第1項)。ただし、その6か月の間にもう一度催告しても、期間は延びません(同条第2項)。

よくある質問

相手が「婚約はしていない」と言い張るときはどうなりますか。

婚約が成立していたことは、請求する側が資料で示す必要があります。結婚の時期を話し合ったメールや、婚約指輪を渡した記録などが資料になります。

親の反対を理由に婚約破棄されたら慰謝料を請求できますか。

親に反対されていることを理由とする婚約破棄に、正当な理由がないと判断した裁判例があります。そのため、慰謝料を請求できる可能性があります。

相手の浮気が原因で自分から婚約を解消した場合、慰謝料を払う必要はありますか。

相手が婚約中に別の人と性的関係を持ったことは、婚約を解消する正当な理由と考えられやすい事情です。正当な理由があれば、解消した側が慰謝料を払う必要は原則としてありません。


相談の前に用意するもの

相談の前に用意するもの

婚約の経緯が分かるメールやLINE、婚約指輪や式場の契約書、支出した費用の領収書を用意してください。

本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

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