閲覧数 19回
婚約の成立から、慰謝料の目安、結納の扱い、請求の期限まで解説します
婚約が成立した後、相手が正当な理由なく一方的に破棄したときは、慰謝料と、結婚の準備に使った費用の賠償を求めることができます。
この記事の結論
- 婚約は当事者の合意だけで成立します。争いになったときは、メールや婚約指輪、親族への紹介などで合意を示します。
- 正当な理由のない破棄であれば、慰謝料と、婚約指輪代や新婚旅行のキャンセル料などの費用を請求できます。
- 不法行為として請求するなら、損害と相手を知った時から3年で時効になります。約束違反として請求するなら、令和2年4月1日以降の婚約では、請求できると知った時から5年です。
婚約は口約束でも成立する
二人がそう遠くないうちに結婚すると約束し合えば、それで婚約は成り立ちます。結納、婚約指輪、書面は、婚約が成立するための条件ではありません。
一緒に暮らしていることも条件ではありません。この点で、夫婦同然の生活をしている内縁とは違います。
ただし、「いつか結婚したい」と話していただけでは、婚約とは認められません。
婚約が成立していたことを示す資料の例
- 結婚の時期や準備について話し合ったメールやLINE
- 婚約指輪の購入と受渡しの記録
- 両親や親族、友人への紹介や結婚の報告
慰謝料を請求できるのは、正当な理由のない破棄
婚約した一方が正当な理由なく結婚を拒んだときは、婚約破棄として損害賠償を請求できます。法律上は、約束違反(債務不履行)としても、不法行為としても請求できます。
| 破棄の理由 | 正当な理由に当たるか |
|---|---|
| 相手が婚約中に別の人と性的関係を持った | 当たると考えられやすい |
| 相手からの暴力 | 当たると考えられやすい |
| 性格が合わない | 当たらないとされやすい |
| 親に反対されている | 当たらないとされやすい |
| 容姿が気に入らない、年齢が離れている | 当たらないとされやすい |
反対に、破棄に正当な理由があるときは、破棄した側に慰謝料を求めることは原則としてできません。
請求できるのは慰謝料と、結婚の準備に使った費用
賠償の対象は、精神的な苦痛に対する慰謝料と、婚約したことで支出した費用です。
費用として請求の対象になり得るもの
- 婚約指輪の代金
- 結婚披露宴に関する費用
- 新婚旅行のキャンセル料
- 同居に向けた準備の費用

慰謝料の額は事案ごとに決まる
法律事務所の解説には、50万円から200万円程度を目安とするものや、30万円から300万円を相場とするものがあります。
幅が広いのは、額が事案ごとの事情によって大きく変わるためです。
結納金を返してもらえるかは、どちらが婚約を破棄したかで変わる
結納金を受け取った側が婚約を破棄したときは、渡した側は返還を求めることができます。
反対に、結納金を渡した側に破棄の責任があるときは、返還を求めることは認められません。
相手が既婚者だったとき
相手に配偶者がいたときは、結婚の約束をしていても法律上は効力がありません。そのため、原則として婚約破棄の責任は問えません。
ただし、相手が独身だと偽っていたときや、夫婦関係が破綻しているかのように偽っていたときは、損害賠償を請求できる余地があります。
請求には期限がある
不法行為として請求するときは、損害と相手を知った時から3年で時効になります。婚約破棄の時から20年が先に過ぎたときも同じです(民法第724条)。
約束違反として請求するときは、請求できると知った時から5年で時効になります。請求できる時から10年が先に過ぎたときも同じです(民法第166条第1項)。
令和2年3月31日以前に婚約していたときは、改正前の民法により、請求できる時から10年です(民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)附則第10条第1項・第4項)。
相手に支払を求めること(催告)をすると、その時から6か月間は時効が完成しません(民法第150条第1項)。ただし、その6か月の間にもう一度催告しても、期間は延びません(同条第2項)。
よくある質問
相手が「婚約はしていない」と言い張るときはどうなりますか。
婚約が成立していたことは、請求する側が資料で示す必要があります。結婚の時期を話し合ったメールや、婚約指輪を渡した記録などが資料になります。
親の反対を理由に婚約破棄されたら慰謝料を請求できますか。
親に反対されていることを理由とする婚約破棄に、正当な理由がないと判断した裁判例があります。そのため、慰謝料を請求できる可能性があります。
相手の浮気が原因で自分から婚約を解消した場合、慰謝料を払う必要はありますか。
相手が婚約中に別の人と性的関係を持ったことは、婚約を解消する正当な理由と考えられやすい事情です。正当な理由があれば、解消した側が慰謝料を払う必要は原則としてありません。

相談の前に用意するもの
婚約の経緯が分かるメールやLINE、婚約指輪や式場の契約書、支出した費用の領収書を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

