閲覧数 9回
詐欺罪になる場合とならない場合、罰金のない刑罰、弁償と示談の扱いを解説します
詐欺罪は、うそで相手を誤解させ、その誤解に基づいてお金や物を渡させたときに成立します。刑罰は10年以下の拘禁刑だけで、罰金刑はありません。
この記事の結論
- 詐欺罪には、だます行為、相手の誤解、誤解に基づく交付、財産の移転が一続きにつながっていることが必要です。
- 借りたときは返すつもりだったお金を後で返せなくなっただけでは、詐欺罪には当たりません。
- 被害弁償と示談は、検察官が起訴するかどうかを決めるときや、裁判所が刑の重さを決めるときに考慮されます。
詐欺罪は、うそから財産の移転までがつながったときに成立する
刑法第246条第1項は、人を欺いて財物を交付させた者を処罰すると定めています。次の4つが順につながっていることが必要です。
詐欺罪が成立するまでの流れ
- お金や物を渡すかどうかを決める基礎となる重要な事柄について、相手にうそをつく
- 相手が、そのうそを信じて誤解する
- 相手が、その誤解に基づいて自分からお金や物を渡す
- お金や物が、だました側又は第三者に移る
また、相手をだましてお金や物を得るつもりで行ったこと(故意)も必要です。
物を受け取る場合だけでなく、うそによって代金の支払を免れるなど、財産上の利益を得た場合も詐欺罪になります(刑法第246条第2項)。
借金を返せない、飲食代を払えないというだけでは詐欺罪にならない
| 詐欺罪に当たり得る | 詐欺罪に当たらない | |
|---|---|---|
| お金を借りる | 初めから返すつもりがないのに、返すと偽って借りる | 借りたときは返すつもりで、後で返せなくなる |
| 飲食店で注文する | 初めから払う意思も所持金もないのに注文する | 払うつもりで注文し、食べた後で所持金が足りないと気付く |
後で返せなくなった借金は、民事の貸し借りの問題として扱われます。
ただし、支払を免れるために「財布を取りに家へ戻る」などとうそをつき、店に支払を待ってもらって立ち去れば、詐欺罪に当たり得ます。
刑罰は10年以下の拘禁刑だけで、罰金はない
| どのような場合か | 刑罰 | |
|---|---|---|
| 詐欺罪(刑法第246条) | 人をだましてお金や物を渡させる、又は代金の支払を免れるなど利益を得る | 10年以下の拘禁刑 |
| 詐欺未遂罪(刑法第250条) | だます行為を始めたが、お金や物、財産上の利益を得るに至らなかった | 詐欺罪と同じ。刑を減軽することができる(刑法第43条) |
| 電子計算機使用詐欺罪(刑法第246条の2) | 人ではなくコンピューターに虚偽の情報を与えるなどして、財産上の利益を得る | 10年以下の拘禁刑 |
刑の全部の執行猶予は、言い渡される刑が3年以下で、前の刑に関する条件を満たす場合に付けることができます(刑法第25条第1項)。前科がなくても、実刑となることがあります。
複数の詐欺罪が併合罪となり、刑が加重されるときは、拘禁刑の上限が15年になります(刑法第45条、第47条)。

家族の間の詐欺には特例がある
配偶者、親子などの直系血族又は同居の親族との間で詐欺罪を犯したときは、刑が免除されます(刑法第251条、第244条第1項)。
それ以外の親族との間の詐欺は、被害者の告訴がなければ起訴されません(刑法第251条、第244条第2項)。親族でない共犯者には、この特例は適用されません(同条第3項)。
被害弁償と示談は、起訴するかどうかと刑の重さで考慮される
被害を弁償し、被害者と示談が成立していることは、検察官が起訴するかどうかを決めるときに考慮されます。刑事訴訟法第248条は、起訴しない判断の材料に「犯罪後の情況」を挙げています。
起訴された後も、被害弁償や示談は、裁判所が刑の重さや執行猶予を付けるかどうかを決めるときの事情になります。
だまし取った人は、刑事の責任とは別に、被害者の損害を賠償する民事の責任も負います(民法第709条)。
よくある質問
お金を受け取る前に見破られた場合も罪になりますか。
お金をだまし取ろうとして、相手をだます行為を始めていれば、受け取る前でも詐欺未遂罪として処罰されます(刑法第250条、第43条)。
だまし取ったお金を全額返せば、詐欺罪にはならないのですか。
返しても、既に成立した詐欺罪がなくなるわけではありません。全額の弁償は、起訴するかどうかや刑の重さを決めるときに、本人に有利な事情として考慮されます。
詐欺罪の時効は何年ですか。
公訴時効は7年です(刑事訴訟法第250条第2項第4号)。

弁護士に相談するときに伝えること
相談するときは、逮捕された日時、留置されている警察署、疑われている詐欺の内容と被害額を、分かる範囲で伝えてください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。
