刑事告訴とは ― 被害届との違い、告訴状の出し方、受理されないとき

黄色の服を着た人が机でノートに書き込む様子 刑事事件

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告訴できる人と期限、告訴状に書くこと、告訴した後の流れを解説します

刑事告訴は、犯罪の被害を警察や検察官に申告し、犯人の処罰を求める意思を示す手続です。処罰を求める意思を含む点で、被害に遭った事実を知らせる被害届と異なります。

この記事の結論

  • 被害に遭った本人のほか、親権者などの法定代理人が告訴人になれます。本人の死後は、配偶者や子・親、兄弟姉妹にも認められます。
  • 告訴は、書面又は口頭で、警察(司法警察員)か検察官にします。実務では、告訴状に証拠を添えて警察に出すことが多くあります。
  • 検察官は、起訴・不起訴を告訴人に通知します。不起訴のときは、告訴人が請求すると、検察官から理由を告げてもらえます。不服があれば、検察審査会に審査を申し立てられます。

告訴と被害届の違いは、処罰を求めるかどうか

被害届は、犯罪の被害に遭ったことを警察に申告するものです。告訴は、その申告に加えて、犯人を処罰してほしいという意思を示すものです。

告訴被害届
中身犯罪事実の申告と、処罰を求める意思表示被害に遭った事実の申告
受け付けた警察の扱い書類と証拠物を速やかに検察官へ送る義務がある受理しなければならないが、告訴のような送付義務の定めはない
告訴と被害届の主な違い

統計上は、捜査の大半が告訴ではなく被害届を出発点にしていると説明されています。

告訴できる人と、告訴の期限

まず、被害に遭った本人が告訴人になれます。親権者など、被害者の法定代理人も、本人とは別に告訴できます。

本人の死後は、配偶者、子や親などの直系の親族、兄弟姉妹にも告訴が認められます。もっとも、本人が生前に「告訴しない」と明言していたなら、それに背く告訴は許されません。

弁護士を代理人として告訴することもできます。

親告罪は6か月の期限に注意

器物損壊罪、名誉毀損罪、過失傷害罪などは、告訴がなければ起訴できない「親告罪」です。

親告罪では、原則として、誰が犯人かが分かってから6か月が告訴の期限です。告訴できる人が何人かいるときは、その期限を一人ずつ数えます。

親告罪でない犯罪の告訴には、この6か月の期限はありません。

告訴状に書くことと、出す先

告訴は書面でも口頭でもできます。口頭で告訴したときは、受けた警察官や検察官が調書を作ります。実務では、告訴状という書面を作って出すことが多くあります。

告訴状に書く主な事項

  • 作成日と宛先(警察署長など)
  • 告訴する人の氏名・住所・連絡先
  • 相手の氏名・住所など(分かる範囲で)
  • 告訴の趣旨(どの罪に当たる行為について処罰を求めるか)
  • 告訴事実(いつ、どこで、誰が、何をしたか)
  • 証拠(告訴状に添える資料)

出す先は、法律上は検察官か司法警察員です。実務では警察に出すことが多く、事件のあった場所を管轄する警察署が望ましいとされています。

告訴状には、集められる限りの証拠を添えます。けがをさせられた事件であれば、けがの写真や診断書が証拠になります。

スーツ姿の人がバインダーの書類に記入する手元
告訴状には、いつ、どこで、誰が、何をしたかを具体的に書きます

うその告訴は罪になる

相手に刑事の処分を受けさせる目的でうその告訴をすると、虚偽告訴罪に当たります。

刑は3か月以上10年以下の拘禁刑です(刑法第172条)。

警察が告訴を受理しないとき

警察は、告訴を受けたら受理しなければならないと、犯罪捜査規範第63条が定めています。それでも実際には、告訴状を預かるだけにとどめられ、受理が先送りされることがあります。

受理されにくい主な理由

  • 犯罪の日時・場所・方法が特定されていない
  • 証拠が足りないと判断される
  • 公訴時効が過ぎている
  • お金の争いなど、民事の争いを有利に進めるための告訴に見える

記載や証拠の不足を理由に受理されなかったときは、補うべき点と必要な証拠を担当者に尋ね、告訴状を直して出し直します。告訴状の作成や提出は、弁護士に依頼することもできます。

告訴した後の流れ

告訴を受けた警察は、告訴に関する書類と証拠物を速やかに検察官へ送らなければなりません(刑事訴訟法第242条)。

検察官は、起訴又は不起訴の処分をしたとき、速やかに告訴人へ知らせなければなりません(刑事訴訟法第260条)。不起訴のときは、告訴人が請求すれば、検察官はその理由を告げなければなりません(同法第261条)。

不起訴に納得できないときは、告訴人は検察審査会に、その処分のよしあしの審査を申し立てられます。審査の申立てに費用はかかりません。

よくある質問

刑事告訴は弁護士に頼まず自分でできますか。

被害者本人が告訴できます。弁護士に依頼しなければならない決まりはありません。弁護士を代理人として告訴することもできます。

告訴状は警察と検察のどちらに出せばよいですか。

法律上はどちらに出してもかまいません。実務では警察に出すことが多くあります。

示談をして告訴を取り消した後、もう一度告訴できますか。

できません。告訴は起訴されるまでなら取り消せますが、取り消した人は同じ事件で再び告訴できません。親告罪では、起訴前に告訴が取り消され、ほかに有効な告訴もなければ、起訴できません。


弁護士に相談するときに用意するもの

弁護士に相談するときに用意するもの

被害の日時・場所・内容を書き出したメモと、写真や診断書など手元にある証拠を用意してください。

本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

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