物を壊したら器物損壊罪になるのか ― 刑罰、親告罪と告訴の期限、うっかり壊した場合、示談

道路を見下ろす位置に取り付けられた監視カメラと、行き交う車 刑事事件

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罪になる行為と刑罰、示談で起訴を避ける仕組みを解説します

他人の物をわざと壊すと器物損壊罪になり、法定刑は3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料です。

この罪は、被害者の告訴がなければ起訴されない親告罪です。

この記事の結論

  • 器物損壊罪は、他人の物をわざと壊したり使えなくしたりしたときに成立します。不注意で壊した場合は器物損壊罪になりませんが、弁償する責任は負います。
  • 被害者の告訴がなければ起訴されません。告訴は、被害者が犯人を知った日から6か月を過ぎるとできなくなります。
  • 告訴を取り消した被害者は、同じ事件で再び告訴できません。示談で取り消してもらえれば、起訴されなくなります。

器物損壊罪になる行為

器物損壊罪は、他人の物を壊したとき、又は他人の動物を傷つけたときに成立します(刑法第261条)。

「壊す」には、形を壊すことだけでなく、その物を本来の用途に使えなくすることも含むと解されています。

物には動物も含まれるので、他人が飼っているペットを傷つけたときも対象になります。

壊した物が他人の建物であれば、刑罰の重い建造物損壊罪(刑法第260条)になります。戸や障子が建物の一部かどうかは、壊さずに取り外せるかどうかを基準に判断されてきました。

器物損壊罪建造物損壊罪
対象他人の物、他人の動物(建物、公務所が使うため保管している文書、権利義務に関する他人の文書などを除く)他人の建物、艦船
法定刑3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料5年以下の拘禁刑
告訴がないときの起訴できない(親告罪)できる
器物損壊罪と建造物損壊罪の違い

被害者の告訴がなければ起訴されない

器物損壊罪は親告罪で、被害者の告訴がなければ、検察官は起訴できません(刑法第264条)。

被害届は、被害に遭った事実を警察に申告するものです。被害届が出ただけでは起訴できず、起訴には、処罰を求める告訴が別に必要です。

告訴は、検察官又は司法警察員に、書面か口頭でします(刑事訴訟法第241条第1項)。告訴できる人には、物の持ち主のほか、正当な権利に基づいてその物を所持していた人も含まれると解されています。

告訴は、被害者が犯人を知った日から6か月を過ぎると、することができません(刑事訴訟法第235条)。

卓上カレンダーの30日にペンで丸を付ける手元
卓上カレンダーの日付に赤い丸を付ける手元

不注意で壊した場合は器物損壊罪にならない

刑法第38条第1項は、罪を犯す意思のない行為を、法律に特別の規定がある場合を除いて罰しないと定めています。器物損壊罪には、不注意で壊した場合を罰する規定がありません。

そのため、うっかり物を落として壊したような場合は、器物損壊罪になりません。

ただし、民法第709条は、故意だけでなく過失で他人の権利を侵害した場合にも、損害を賠償する責任を定めています。不注意で壊した物も、弁償する必要があります。

後日逮捕されることもある

その場で取り押さえられる現行犯逮捕のほか、防犯カメラの映像などから犯人と特定され、後日逮捕されることもあります。

示談で告訴を取り消してもらう

示談では、壊した物を弁償するとともに、被害者に告訴をしないこと、又は既にした告訴を取り消すことを約束してもらいます。

告訴は、起訴されるまでの間であれば取り消すことができます。取り消した人は、同じ事件について再び告訴できません(刑事訴訟法第237条第1項及び第2項)。

器物損壊罪は告訴がなければ起訴できないので、告訴が取り消されれば起訴されなくなります。

示談金は、壊した物の修理費又は時価を基にし、事案によっては被害者の精神的な苦痛も考慮して決めます。

公訴時効は3年

器物損壊罪の公訴時効は3年です。法定刑の上限が5年未満の拘禁刑又は罰金の罪は、3年で時効になると定められているからです(刑事訴訟法第250条第2項第6号)。

時効の期間は、物を壊す行為が終わった時から数えます(刑事訴訟法第253条第1項)。

よくある質問

器物損壊の時効は何年ですか。

公訴時効は、物を壊す行為が終わった時から3年です(刑事訴訟法第250条第2項第6号)。

わざとではなく物を壊してしまった場合も器物損壊罪になりますか。

器物損壊罪には不注意で壊した場合を罰する規定がないので、器物損壊罪にはなりません。ただし、壊した物を弁償する責任は負います。

自分の物を壊しても器物損壊罪になりますか。

自分の物でも、差押えを受けた物、抵当権などが設定された物、人に賃貸している物を壊したときは、他人の物を壊した場合と同じく罰せられます(刑法第262条)。


弁護士に相談するときに用意するもの

弁護士に相談するときに用意するもの

警察から受け取った書類と、被害者とのやり取りの記録を用意してください。

本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

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