家族が逮捕されたときに最初にすること ― 留置先の確認・面会と接見・差入れ・弁護士の頼み方

暗い部屋の机の上に置かれた古い電話機 刑事事件

勾留が決まるまでは家族でも本人に会えません。まず居場所を確かめて弁護士に接見を頼みます

家族が逮捕されたと連絡を受けたら、まず本人が留置されている警察署を確かめ、弁護士に接見を頼んでください。接見とは、弁護士が本人と面会することです。

逮捕から勾留(裁判官の決定で引き続き身体を拘束すること)が決まるまでは、家族でも面会できません。この間に本人と会えるのは弁護士だけです。この記事では、留置先の確かめ方、面会と接見の違い、差入れ、弁護士の頼み方、勤務先への連絡を順に整理します。

この記事の結論

  • 逮捕の連絡を受けたら、まず本人がどの警察署に留置されているかを確かめます。事件を調べている警察署と、本人が寝泊まりする警察署が違うこともあります。
  • 逮捕から勾留が決まるまで、家族は本人に面会できません。勾留を求めるまでが最長72時間で、勾留の決定はその翌日になることもあります。弁護士はこの間も会えます。
  • 当番弁護士は、家族からでも本人からでも頼める弁護士会の制度で、最初の接見は無料です。勾留を求められた後は、国選弁護人(国が費用を出して付ける弁護士)を求める道もあります。
  • 勤務先に何をどこまで伝えるかは、本人の仕事に直結します。弁護士の接見を通じて本人の意向を確かめてから決めるのが安全です。

まず本人が留置されている警察署を確かめる

最初にすることは、本人が今どこにいるのかを確かめることです。警察から連絡があったら、どこの警察署にいるのか、何の疑いで逮捕されたのかを聞いて書き留めます。電話では詳しい理由まで教えてもらえないこともあるので、分かる範囲で控えておけば足ります。

注意したいのは、事件の捜査を担当する警察署と、本人が留置されている警察署が同じとは限らないことです。共犯者がいる事件では、互いを同じ警察署に置かないため、別の警察署に留置されることがよくあります。また、日中は取調べや手続のために検察庁や裁判所へ連れて行かれ、警察署にいない時間もあります。

弁護士会に当番弁護士を頼むと、本人の名前や罪名とともに、留置されている場所が弁護士に伝えられます。留置先が分かっていれば、弁護士がすぐに接見に向かえます。

この先の流れ(ごく簡単に)

逮捕の後、警察は48時間以内に本人を検察官のもとへ送ります。検察官は24時間以内に、裁判官に勾留を求めるかを決めます。勾留が認められると原則10日、延長されると最長でさらに10日、身体の拘束が続きます。

時間の流れは、別の記事で詳しく整理しています。ここでは、家族として最初の数日にできることに絞ります。

家族の面会と弁護士の接見は違う

家族の面会には大きな制限がありますが、弁護士の接見は、それよりずっと広く認められています。この違いを知っておくと、最初の数日に何を頼めばよいかが分かります。

逮捕されてから勾留が決まるまでは、家族や友人は本人と面会できません。逮捕されている人は、弁護人(本人の弁護を引き受けた弁護士)やこれから弁護人になろうとする弁護士以外とは、会う権利を持たないとされているからです。

警察と検察官の持ち時間は、合わせて最長72時間です。ただし、これは勾留を求めるまでの上限です(刑事訴訟法第二百五条第1項・第2項)。勾留の決定は求めた翌日になることもあるので、会えない期間が72時間を超えることがあります。

勾留が決まった後は、家族も面会を申し込めます(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事収容施設法)第二百十六条)。ただし、職員が立ち会うか、面会の様子が録音・録画されます(刑事収容施設法第二百十八条第1項)。人数や時間、回数にも制限があり、回数を制限するときも1日1回を下回ってはならないとされています(同法第二百二十条第5項・第6項)。面会の時間は短く、東京の警察署の留置場では20分に限られるとの紹介もあります。

これに対して弁護士は、逮捕の直後から、立会いなしで本人と会えます(刑事訴訟法第三十九条第1項)。法律では、弁護士との面会は原則として施設の執務時間内とされています。それ以外の時間でも、施設の管理運営に支障がなければ認められます(刑事収容施設法第二百二十条第1項・第3項)。

実務では、家族の面会と違い、弁護士との面会時間は原則として一律には区切られないとされています。ただし、起訴前は、捜査機関が捜査のために日時や時間を指定する場合があります(刑事訴訟法第三十九条第3項)。本人の様子や頼みごとを聞き、家族に伝えることも弁護士の役割です。

家族の面会弁護士の接見
逮捕から勾留が決まるまでできないできる
職員の立会い立ち会い、録音・録画されることもある立会いなし
時間・回数制限がある(回数は1日1回を下回らない範囲)原則は執務時間内。実務では原則として一律に時間を区切らない
接見禁止が付いたとき原則としてできないできる
家族の面会と弁護士の接見の違い(警察署に留置されている場合)

勾留されても接見禁止が付くと家族は会えない

勾留が決まっても、裁判官が「接見禁止」を付けると、家族は面会も、原則として手紙のやり取りもできなくなります。裁判官は、逃げたり証拠を隠したりすると疑う相当な理由があれば、弁護人以外の人との面会などを禁じられます(刑事訴訟法第八十一条、第二百七条第1項)。検察官が接見禁止を求めるときは、勾留を求める書面と同時に出すのが通常とされています。

接見禁止が付いても、打つ手はあります。弁護士は、接見禁止の決定そのものに不服を申し立てたり、一部だけ解いてもらうよう求めたりできます。事件と関わりのない配偶者や両親については、一部を解いてもらえることが比較的多いとされています。会う人や日時を絞って求めると、認められやすいとされています。認められた場合、面会のときに身分証明書の提出を求められるので用意しておきます。

食べ物のやり取りまでは、接見禁止の対象にできません(刑事訴訟法第八十一条ただし書)。実際に差し入れられる物や方法については、留置先の決まりも確かめてください。

差入れでできることと決まりごと

勾留されている本人には、法令の範囲内で、家族から物を差し入れることができます(刑事訴訟法第八十条、第二百七条第1項)。着替えや眼鏡、現金などを差し入れてほしいと頼まれることが多いとされています。

ただし、逮捕されている段階では、食べ物以外の物のやり取りは、家族の権利としては認められていないとされています。この段階で本人が何を必要としているかは、弁護士の接見を通じて聞いてもらうのが確実です。

差し入れられる物には決まりがあります。自分や他人を傷つけるおそれがあるため、ひも類(衣類や本に付いたひもも含みます)、ボールペンのような先のとがった物は受け付けてもらえません。生ものも受け付けてもらえません。数や品目に制限があることもあるので、事前に留置先へ問い合わせてください。

ペンは差し入れられなくても、施設の中で買ったり借りたりできるとされています。現金やキャッシュカードなどの貴重品は金庫で管理されるため、受け付けてもらえる時間が日中に限られることがあります。

反対に、本人の持ち物や本人が書いた書面を外で受け取ることを「宅下げ」といいます。拘置所に移った後は、差入れも宅下げも、警察署より制限が厳しく、届くまでに時間がかかることが多いとされています。

机の上のノートと眼鏡
机の上のノートと眼鏡

弁護士の頼み方 ― 当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人

弁護士に頼む入口は三つあります。逮捕された直後であれば、まず当番弁護士を呼ぶのが手早い方法です。

当番弁護士は、弁護士会ごとに設けられた仕組みです。その日の担当になっている弁護士が駆け付け、初回の接見には費用がかかりません。家族が弁護士会に連絡して頼むことも、本人が警察官に「当番弁護士を呼んでください」と伝えて頼むこともできます。知らせを受けた弁護士は、できるだけ当日中に本人のもとへ駆け付けるのが原則とされています。

勾留を求められた後は、裁判官に国選弁護人(国が費用を出して付ける弁護人)を求めることができます。お金がないなどの理由で、自分では弁護人を頼めない場合です(刑事訴訟法第三十七条の二)。平成30年6月からは、罪の種類にかかわらず、勾留された全ての事件が対象になっています。

求めるときは、現金や預金の額を申告する資力申告書を出します。資力が基準額以上の人は、先に弁護士会へ弁護人を紹介してほしいと申し出ておく必要があります(刑事訴訟法第三十七条の三)。

本人だけでなく、配偶者、親や子などの直系の親族、兄弟姉妹も、本人とは別に弁護人を選ぶことができます(刑事訴訟法第三十条第2項)。家族が費用を負担して、私選の弁護人に依頼する道です。勾留される前で費用を払う力が乏しい場合には、「刑事被疑者弁護援助制度」もあります。日本司法支援センター(法テラス)を通じて、弁護士費用の援助を受ける制度です。

頼める時期・頼む人費用
当番弁護士逮捕の直後から。家族も本人も弁護士会に頼める最初の接見は無料
国選弁護人勾留を求められた後。本人が裁判官に求める国が付ける。有罪になると費用の負担を命じられることがある
私選弁護人いつでも。本人のほか配偶者・直系の親族・兄弟姉妹も選べる依頼する弁護士との契約による
弁護士に頼む三つの入口(頼める時期と費用の目安)

三つの違いや選び方の詳しい比較は、別の記事で扱います。

勤務先への連絡で気を付けること

勤務先に何をどこまで伝えるかは、本人の意向を確かめてから決めるのが安全です。伝え方によっては仕事を失うおそれがある一方、隠していたことが後で分かると、かえって不利に扱われるおそれもあるからです。

勾留されると、延長がなくても原則として10日は続きます。そのため、事件のことを勤務先に話すのか、話さないなら休むことをどう説明するのかを、本人と相談して決める必要があります。警察の側から勤務先に接触する事件もあるので、隠し通せるとは限りません。

家族が判断に迷うときは、弁護士の接見を通じて本人の考えを聞いてもらうのが確実です。勤務先との調整は、弁護士が連絡するより家族が行った方が、後への影響が小さい場合もあるとされています。

周りの人への連絡も同じです。身元を引き受けてくれる人など、本人のために力を貸してくれる人に絞って伝え、それ以外の人に広く知らせることは控えた方がよいとされています。

要点の整理

この記事で確かめたこと

  • 最初に、本人が留置されている警察署を確かめる。捜査を担当する警察署と違うこともある
  • 逮捕から勾留が決まるまでは、家族は面会できない。会えない期間は72時間を超えることもある。弁護士は立会いなしで接見できる
  • 勾留後は家族も面会できるが、職員の立会いや時間の制限がある。接見禁止が付くと会えない
  • 差入れには品目の決まりがあるので、留置先に事前に確かめる
  • 当番弁護士は家族からも頼め、初回は無料。勤務先への伝え方は、弁護士を通じて本人の意向を確かめてから決める

よくある質問

家族が逮捕されたら、すぐに面会できますか。

勾留が決まるまでは、家族は面会できません。勾留を求めるまでが最長72時間で、決定はその翌日になることもあります。勾留後は面会を申し込めますが、職員の立会いや録音・録画があり、時間も短く限られます。接見禁止が付くと面会できません。それまでは、弁護士に接見を頼んで様子を聞いてもらうのが現実的です。

当番弁護士は家族からでも呼べますか。

呼べます。当番弁護士は弁護士会の制度で、家族が弁護士会に連絡して頼むことも、本人が警察官に頼むこともできます。最初の接見は無料です。留置されている警察署と本人の名前を伝えられるようにしておいてください。

逮捕された家族に、何を差し入れられますか。

勾留されていれば、着替えや眼鏡、現金などを差し入れられます。ひも類やボールペンのような先のとがった物、生ものは受け付けてもらえません。数や品目に制限があることもあるので、事前に留置先へ確かめてください。

会社には何と伝えればいいですか。

本人の意向を確かめてから決めてください。伝え方によって仕事への影響が変わる場合があります。勾留の期間も踏まえ、弁護士の接見を通じて、本人と相談するのが確実です。

接見禁止が付いたら、手紙も出せませんか。

原則として、手紙のやり取りもできなくなります。ただし、弁護士は禁止の一部を解くよう求めることができ、事件と関わりのない配偶者や両親については認められることが比較的多いとされています。食べ物の差入れまでは禁じられません。


家族が逮捕され弁護士に相談する方へ

家族が逮捕され弁護士に相談する方へ

弁護士に相談するときは、本人の氏名と生年月日、逮捕された日時、留置されている警察署の名前、警察から伝えられた罪名を書き留めて用意してください。本人に伝えたいこと、差し入れたい物、勤務先への連絡で迷っていることも、メモにしておくと接見で確かめてもらえます。

本稿は、家族が逮捕されたときに最初にすることについて、一般的な仕組みを整理したものです。面会や差入れの細かな取扱いは、施設や地域、事件の内容によって異なります。個別の事案については、資料に基づく検討が必要です。

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