略式手続も刑を科す裁判です。署名前に内容を確認してください
略式手続は、法廷で通常の審理を行わずに罰金などを科す裁判です。不起訴とは違い、有罪の裁判が確定する場合があります。
同意を求められたときは、事件の内容と手続の意味を理解してから判断してください。命令を受けた後に不服がある場合には、正式裁判を請求できる期間があります。
この記事の結論
- 略式手続は簡易裁判所が資料で判断する刑事裁判です。100万円以下の罰金又は少額の金銭刑である科料を科すことができ、確定すると有罪の裁判としての効力を持ちます。
- 略式手続に異議がないという書面を出す前に、処罰される内容を確認してください。通常の裁判を受ける選択肢についても説明を受けられます。
- 略式命令に不服がある場合、告知を受けた日から14日以内に正式裁判を請求できます。期限と提出先を命令の謄本で確認し、早めに相談してください。
略式手続は罰金などを科す裁判
略式手続は、法廷での通常の審理を経ずに刑を決める手続です。簡易裁判所が、検察官の請求と資料に基づいて判断します。略式命令で科せるのは、100万円以下の罰金又は科料です(刑事訴訟法第四百六十一条)。
罰金は刑罰です。正式裁判の請求期間が過ぎると、略式命令は確定判決と同じ効力を持ちます(同法第四百七十条)。法廷に出なかったから前科にならないという理解は誤りです。
| 不起訴 | 略式手続 | |
|---|---|---|
| 決める人 | 検察官が起訴しないと決める | 簡易裁判所が刑を決める |
| 罰金の裁判 | この処分だけで刑は科されない | 罰金又は科料を科す裁判が行われる |
| 有罪の確定 | 有罪の裁判ではない | 正式裁判の請求がない場合などに確定する |
同意する前に内容を理解する
略式手続を利用するには、本人に異議がないことを確認します。検察官は制度を説明し、通常の裁判を受けられることも伝える必要があります(刑事訴訟法第四百六十一条の二第1項)。異議がなければ、本人はその意思を書面に示します(同条第2項)。
疑われている行為や証拠に納得していないときは、署名する前に弁護士へ相談してください。早く終わらせたいという気持ちだけで、処罰される内容の確認を省かないことが大切です。

略式命令を受けた後の流れ
命令を受け取ったら、記載された金額と告知日を確認します。検察官の請求と裁判は別なので、説明されていた見込みだけで判断しないでください。
勾留されている事件で罰金の裁判が告知されると、勾留状は効力を失います(刑事訴訟法第三百四十五条)。当日に罰金を用意できないことだけで、その勾留が続くわけではありません。罰金の納付の問題は、釈放とは分けて対応します。
不服があれば正式裁判を請求する
事実認定や金額などに不服があるときは、正式裁判の請求を検討できます。本人が命令の告知を受けた日から14日以内が請求期間です(刑事訴訟法第四百六十五条第1項)。命令を出した裁判所へ書面で提出します(同条第2項)。
期限を過ぎる前に、命令の謄本を弁護士へ見せてください。正式裁判では、略式命令と同じ判断になるとは限りません。裁判所は元の命令に拘束されずに判断します(同法第四百六十八条第3項)。
罰金を払えない場合
罰金の支払が難しいときも、放置せず検察庁の担当窓口と弁護士に相談してください。完納できない場合には、刑事施設の労役場に収容される制度があります(刑法第十八条)。
裁判では、支払えなかった場合に何日留置するかも定めます。自分で「1日いくら」と決めて支払に代えられるわけではありません。略式命令に書かれた内容と、納付の案内を確認してください。
要点の整理
この記事の要点
- 略式手続は簡易裁判所が資料で判断する刑事裁判です。100万円以下の罰金又は少額の金銭刑である科料を科すことができ、確定すると有罪の裁判としての効力を持ちます。
- 略式手続に異議がないという書面を出す前に、処罰される内容を確認してください。通常の裁判を受ける選択肢についても説明を受けられます。
- 略式命令に不服がある場合、告知を受けた日から14日以内に正式裁判を請求できます。期限と提出先を命令の謄本で確認し、早めに相談してください。
よくある質問
略式手続は前科になりますか。
略式命令が確定すれば、前科になります。不起訴とは異なります。
略式手続に同意しないとどうなりますか。
略式手続の条件を満たさないため、その手続では処理できません。通常の裁判を受けることについて説明を求めてください。
略式命令の罰金に不服がある場合は。
正式裁判を求める書面を、命令が告知されてから14日以内に提出する必要があります。通常の審理では、元の命令に拘束されずに判断されます。
罰金を当日に払わないと釈放されませんか。
罰金の裁判の告知で勾留状は失効します。当日の支払ができないことだけでその勾留は続きませんが、納付には別に対応が必要です。

弁護士に相談するときに用意するもの
弁護士に相談するときは、略式手続について渡された書類と、命令の謄本を用意してください。告知を受けた日、納付案内、事件の内容に納得できない点も整理してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

