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脅迫罪が成立する言葉と成立しない言葉、近い罪との違い、逮捕と示談を解説します
脅迫罪は、本人や親族の命・体・自由・名誉・財産に害を加えると伝えたときに成立します。相手が実際に怖がらなかったとしても、一般の人が怖いと感じる内容であれば犯罪になり得ます。
一方で、友人への害を告げた場合や、天罰のように、自分が起こすものとして示していない災いを告げた場合など、脅迫罪にならない言葉もあります。
この記事の結論
- 脅迫罪の刑罰は、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金です(刑法第222条)。
- 脅して金品を出させれば恐喝罪、脅して義務のないことをさせれば強要罪になり、どちらも脅迫罪より重い罪です。
- 脅迫罪は親告罪ではありません。示談が成立すると、不起訴の判断で有利な事情として扱われます。
「害を加える」と伝えると脅迫罪になる
脅迫罪は、相手の生命、身体、自由、名誉又は財産に害を加えると伝えて脅したときに成立します(刑法第222条第1項)。相手の親族に害を加えると伝えた場合も同じです(同条第2項)。
| 言葉の例 | |
|---|---|
| 生命 | 「殺してやる」 |
| 身体 | 「殴るぞ」「ボコボコにしてやる」 |
| 自由 | 「ここから出られないようにしてやる」 |
| 名誉 | 「会社にばらすぞ」 |
| 財産 | 「家に火をつけるぞ」 |
伝える内容は、一般の人が怖いと感じる程度のものである必要があります。ただし、相手が実際に怖がったかどうかは問われません。
同じ言葉でも、前後のやり取りや二人の関係によって判断が変わります。友人同士の悪ふざけだと互いに分かっている場合は、脅迫に当たりません。
メールやSNSでも成立する
伝え方に決まりはありません。口頭のほか、手紙、電話、メール、LINE、SNSへの書き込みでも脅迫罪は成立し得ます。

脅迫罪にならない言葉
脅迫罪にならない主な場合
- 害を加える相手が、本人と親族以外の人(友人や恋人など)である場合
- 「天罰が下る」のように、自分が起こすものとして示していない災いを告げた場合
- 会社などの法人だけに向けて害を告げた場合
会社への言葉でも、代表者や従業員本人の生命や身体などに害を加えると告げる内容であれば、その人に対する脅迫罪が成立する場合があります。
「訴えるぞ」「警察に言うぞ」は、正当な権利の行使として、原則として脅迫罪にはなりません。ただし、訴えるつもりもないのに相手を怖がらせる目的で言えば、脅迫罪になるおそれがあります。
恐喝罪・強要罪は、脅して何かをさせようとする罪
脅迫罪は、脅す行為そのものを罰します。強要罪と恐喝罪は、脅迫や暴行を手段として、相手に一定の行為をさせる罪です。
| 成立する場合 | 刑罰 | |
|---|---|---|
| 脅迫罪 | 害を加えると伝えて脅した | 2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金 |
| 強要罪 | 脅迫や暴行で、義務のないことをさせた、又は権利の行使を妨げた | 3年以下の拘禁刑 |
| 恐喝罪 | 脅迫や暴行で、お金や物を出させた、又は財産上不法の利益を得た | 10年以下の拘禁刑 |
強要罪と恐喝罪は、目的を遂げられなかったときも未遂罪として処罰されます(刑法第223条第3項、第250条)。脅迫罪には未遂罪の定めがありません。
相手が抵抗できないほど強い暴行や脅迫で金品を奪えば、恐喝罪ではなく強盗罪になります。恐喝罪では、害を加える対象が本人や親族に限られません。恋人や友人への害を告げてお金を出させた場合も、恐喝罪になり得ます。
被害届が出れば逮捕されることもある
脅迫罪は親告罪ではないので、被害者の告訴がなくても起訴できます。実際には、被害者が被害届を出したことから捜査が始まることが多いとされています。
脅しの内容や回数、被害者に接触するおそれなどによっては、逮捕されることがあります。
逮捕後も留置を続ける場合、警察は逮捕から48時間以内に検察官へ送ります。検察官は、受け取ってから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に勾留を請求しなければ、釈放しなければなりません。勾留は請求の日から10日間です。やむを得ない事由があれば、裁判官は検察官の請求により、さらに10日まで延長できます。そのため、起訴の判断まで最長23日ほど拘束されることがあります。
示談は起訴される前に
起訴するかどうかは検察官が決めます。刑事訴訟法第248条は、犯罪後の情況なども考えて起訴しないことができると定めています。
被害者との示談が成立すると、起訴・不起訴の判断で有利な事情として扱われます。示談書には、被害者が処罰を求めないことや、被害届を取り下げることを入れる例があります。
示談で気を付けること
加害者本人が被害者に直接連絡すると、かえって事態が悪くなるおそれがあります。示談の交渉は弁護士を通じて行うことが勧められています。
起訴された後の示談も、刑の重さを決める際に有利な事情として考慮されます。
脅迫罪の公訴時効は3年です(刑事訴訟法第250条第2項第6号)。恐喝罪は7年、強要罪は3年です。
よくある質問
「覚えとけよ」は脅迫罪になりますか。
その言葉だけで直ちに脅迫罪になるとは限りません。前後の言動や関係によって、害を加える意味に受け取られる場合は、脅迫罪になることがあります。
SNSへの書き込みでも脅迫罪になりますか。
特定の人に向けて害を加えると書き込み、それが相手に届けば、脅迫罪になり得ます。
恋人に「お前の友達を殴る」と言ったら脅迫罪になりますか。
脅迫罪の対象は、本人と親族への害に限られます。その友人が親族に当たらなければ、脅迫罪にはなりません。ただし、その言葉で金品を要求すれば、恐喝罪になり得ます。
脅迫罪の時効は何年ですか。
公訴時効は3年です。時効は、犯罪行為が終わった時から数えます(刑事訴訟法第253条第1項)。

弁護士に相談するときに用意するもの
実際に送ったメールやSNSのやり取り、警察から受け取った書類を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

