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同じけがでも、どの基準で計算するかで金額が変わります
交通事故のけがの慰謝料は、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準のどれで計算するかで額が変わります。
この記事の結論
- 自賠責基準は国が定めた支払基準です。けがの慰謝料は1日4300円で、治療費なども含めたけがの損害全体で120万円が上限です。
- 任意保険基準は、各保険会社が内部で定める基準です。公表されていないため、外から内容を確かめることはできません。
- 弁護士基準は裁判例を基にした目安です。入院なしで通院6か月なら、別表Ⅰでは116万円、別表Ⅱでは89万円が目安です。
慰謝料の額を決める基準は三つある
交通事故の慰謝料には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の三つの基準があります。
| 何に基づくか | 使われる場面 | |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 国土交通大臣と内閣総理大臣が定める支払基準 | 自賠責保険から支払うとき |
| 任意保険基準 | 各保険会社が内部で定める基準(公表されていない) | 任意保険の会社が示談の額を提示するとき |
| 弁護士基準 | 過去の裁判例を基にまとめた基準 | 裁判や、弁護士が示談交渉をするとき |
慰謝料は、けがの慰謝料(入通院慰謝料)、後遺障害の慰謝料、死亡の慰謝料に分けて基準が作られています。この記事では、けがの慰謝料を扱います。
自賠責基準 ― 慰謝料は1日4300円
自賠責保険の会社は、国が定めた支払基準に従って保険金を支払わなければなりません(自動車損害賠償保障法第16条の3第1項)。
令和2年4月1日以後の事故に適用される支払基準では、けがの慰謝料は1日4300円です。対象となる日数は、けがの状態や実際に治療した日数などを踏まえ、治療期間の範囲内で決まります。
自賠責保険から支払われる額は、けがの損害について被害者1人120万円が上限です(自動車損害賠償保障法施行令第2条第1項第3号イ)。この枠には、慰謝料のほか治療費や休業損害も含まれます。
それより前の事故には、改正前の支払基準が適用されます。
任意保険基準 ― 各社の内部の基準
任意保険基準は、各保険会社が内部で定めている基準です。公表されていないため、金額の表を見て確かめることはできません。
示談交渉では、保険会社は通常、自賠責基準や自社の基準を使って慰謝料を提示します。

弁護士基準 ― 裁判例を基にした目安
弁護士基準は、過去の裁判例を基にまとめた基準で、裁判基準とも呼ばれます。裁判では、『民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準』(通称「赤い本」)の表がよく参照されます。
弁護士基準のけがの慰謝料は、日額を掛けて計算しません。入院した期間と通院した期間の長さに応じて、表から額を読み取ります。
赤い本には表が二つあります。むちうち症で他覚所見がない場合や、軽い打撲・軽い挫創の場合は別表Ⅱを、それ以外は別表Ⅰを使います。
通院6か月の慰謝料で比べると
入院せずに6か月通院した場合の慰謝料を、三つの基準で比べると次のとおりです。
| 慰謝料の額 | 注意点 | |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 対象日数が180日なら77万4000円 | 対象日数は治療期間の範囲内で決まる。治療費などと合わせて120万円が上限 |
| 任意保険基準 | 公表されていない | 各保険会社が独自に定めている |
| 弁護士基準 | 別表Ⅰで116万円、別表Ⅱで89万円 | けがの内容や通院の状況によって増減することがある |
自賠責基準の額は、4300円に180日を掛けた額です。対象日数が180日より短く決まれば、慰謝料も少なくなります。
弁護士基準での支払を受けるには
被害者本人が弁護士基準の額を示して交渉しても、保険会社が受け入れることは少ないのが実情です。弁護士基準での支払を求めるには、弁護士に示談交渉を依頼する方法があります。
弁護士費用特約を使わず、弁護士費用を自分で負担するときは、増える見込みの額と費用を比べてください。増える額より費用が大きければ、手元に残るお金はかえって減ります。
よくある質問
自賠責保険と任意保険から、慰謝料を両方受け取れますか。
二重には受け取れません。通常は任意保険の会社が、自賠責保険で支払われる分も含めてまとめて支払い、その分を後で自賠責保険の会社に請求します。
むちうちで6か月通院した場合、慰謝料の相場はいくらですか。
他覚所見がないむちうちで入院がなければ、弁護士基準(赤い本の別表Ⅱ)で89万円が目安です。自賠責基準では、1日4300円に対象日数を掛けた額になります。
後遺障害が残った場合の慰謝料も、同じ基準で決まりますか。
後遺障害の慰謝料は、けがの慰謝料とは別に、後遺障害の等級に応じて基準が定められています。自賠責基準と弁護士基準のそれぞれに基準があります。

相談の前に用意するもの
保険会社から届いた示談金の提示書を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

