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保険会社から届いた免責証書を返送する前に読むところ
保険会社から届く免責証書は、示談書の一種です。署名・押印して返送する前に、何が書かれ、何が書かれていないかを読んでください。
この記事の結論
- 成立した示談は民法上の和解として扱われ、原則として一方的に撤回できません。
- 返送する前に、事故の表示、金額と内訳、過失割合、清算条項、振込先を読みます。
- 後遺障害の結果を待つときや物損だけを先に合意するときは、残す請求が書面に書かれているかを見ます。
免責証書と示談書の違いは、加害者側の署名の有無
免責証書は、加害者側の保険会社が用意する示談書の一種です。
合意した賠償の内容と、それ以外は加害者に請求しないという約束が書かれます。示談書と違い、加害者側の署名・押印はありません。
成立した示談は、原則として一方的に撤回できない
示談は、民法上の和解契約として扱われています。民法第695条は、互いに譲歩して争いをやめる約束を和解と定めています。
民法第696条により、和解で争いをやめた権利については、後から反対の証拠が見つかっても、和解で決めたとおりに扱われます。
そのため、免責証書を返送して示談が成立した後は、原則として内容を変えることも、追加で請求することもできません。
参考・予想できなかった後遺症
全損害を把握しにくい時期に少額で示談した事案で、最高裁判所は、当時予想できなかった再手術や後遺症の損害まで放棄したとはいえないと判断しました。
最高裁判所昭和43年3月15日第二小法廷判決・民集22巻3号587頁
返送する前に読む五つの項目
免責証書が届いたら、署名する前に次の項目を読みます。
署名・押印の前に読む項目
- 事故の日時と場所、当事者の氏名、車両の登録番号に誤りがないか
- 支払われる金額と内訳に、漏れている損害がないか
- 過失割合が書かれているときは、その割合に納得できるか
- これ以上請求しないという清算条項が、どの損害までを対象にしているか
- 振込先の口座に誤りがないか
記載に誤りや分からない点があれば、署名する前に保険会社の担当者へ問い合わせます。

後遺障害の結果を待つときは、残す請求を書面に入れる
後遺症が残りそうなときは、後遺障害の等級認定の結果が出て、損害が確定してから示談するのが原則です。
認定の結果を待たずに、けがの治療に関する損害だけを先に合意するときは、後遺障害による損害の請求を残す条項(留保条項)が要ります。
示談した後に、自賠責保険でより上位の等級が認められたら別に協議する、という留保条項を入れることもあります。
物損だけの合意なら、人身損害を除くと書かれているかを見る
物の損害(物損)の賠償を求める権利と、けがによる損害(人身損害)の賠償を求める権利は、別々の請求権です。
物損だけを先に示談するときは、人身損害の請求を残すことを書面に書いておく必要があります。
例えば、清算条項に「人身損害は含まない」といった文言が入っているかを見ます。
よくある質問
免責証書を返送した後に撤回できますか。
原則としてできません。例外として請求を認めた最高裁判所の判例は、示談当時に予想できなかった後遺症の損害についてのものです。
免責証書を返送してから、示談金はいつ振り込まれますか。
返送してから2週間ほどで、指定した口座に振り込まれるのが一般的です。
物損の免責証書に署名すると、けがの賠償も請求できなくなりますか。
物損だけを対象とする合意であれば、けがの賠償は別に請求できます。清算条項に「人身損害は含まない」などと書かれているかを、署名する前に見てください。

署名する前に相談するときに用意するもの
届いた免責証書と、保険会社から受け取った提示書を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

