認められる範囲と、そのために示しておくこと
家族が交通事故に遭って入院したという連絡を受け、遠方から急いで病院に向かった。その後も、何度も面会に通った。この交通費や宿泊費は、加害者側に請求できるのでしょうか。
できます。ただし、無条件ではありません。その出費が事故から生じたものと認められる範囲に限られ、被害者のけがが重い事案ほど、認められやすくなります。この記事では、どこまで認められるのか、何を示せばよいのかを整理します。
駆けつけとお見舞いは、扱いが少し違う
事故が起きたときに家族が病院へ駆けつけた費用や、その後にお見舞いへ通った交通費は、事故による出費として妥当と認められる範囲で請求できます。ただし、認められやすさには差があります。
事故の直後に病院へ向かった分は、比較的認められやすい傾向にあります。もめやすいのは、その後に何度も面会へ通った分です。面会の必要性が乏しいとして争われることがあります。
なぜ争われるのか
家族として面会を望むのは自然なことですが、その費用を加害者側が負担するかどうかは、別に判断されます。面会が直ちに治療の効果を高めたとも、被害者の不利益を避けるために欠かせなかったとも評価されない場合には、保険会社が支払を争うことがあります。
裁判例は、家族の気持ちをくみとっている
一方で裁判では、重いけがをした被害者のもとへ家族が向かうことを自然な行動ととらえ、その費用を事故による損害と認める例があります。
ですから、費用を請求するときは、家族が病院へ向かった事情を説明します。たとえば、被害者が生命の危険を伴う状態にあったこと、請求する人が近しい親族であることが、判断の材料になります。
示しておきたいこと
- 被害者の症状の程度(診断名、意識の状態、生命の危険があったか)
- 請求する人と被害者との関係(親、子、配偶者など)
- いつ、どこから病院へ向かったか
- 面会した日と回数の記録
- 実際にかかった額が分かる領収書(新幹線や航空機の場合は特に)

付添いを指示されている場合
主治医から付き添うように言われている場合など、被害者に付き添う必要がある場合には、そこへ通う交通費が認められます。この場合に支えになるのは家族の心情ではなく、付添いそれ自体が必要だったという事実です。
付添いの指示を受けた場合は、そのことが診療の記録などに書かれているかを確かめてください。指示が分かる資料があるか、併せて見ておいてください。
症状が重篤とまでいえない場合も、請求はする
けがの程度が重篤とまではいえない場合であっても、家族の駆けつけやお見舞いの交通費は請求すべき項目です。保険会社がどこまで認めるかは交渉によりますが、初めから諦める理由はありません。
請求額を保険会社へ示すときは、事故との関係を説明できる交通費を整理し、領収書などと併せて示します。
領収書は捨てないでください
実際にかかった額を示せるようにしておくためです。新幹線や航空機を利用した場合は、領収書など、支払った額が分かる資料を残しておいてください。
よくある質問
入院した家族に会いに行った交通費は請求できますか。
できます。ただし、その出費が事故から生じたものと認められる範囲に限られます。被害者のけがが重い事案ほど認められやすくなります。
最初に駆けつけた分と、その後のお見舞いの分で違いがありますか。
あります。事故の直後に病院へ向かった分は、比較的認められやすい傾向にあります。もめやすいのは、その後に何度も面会へ通った分で、面会の必要性が乏しいとして争われることがあります。
何を示せばよいのですか。
家族が病院へ向かった事情です。たとえば、被害者が生命の危険を伴う状態にあったこと、請求する人が近しい親族であることが、判断の材料になります。
宿泊費も請求できますか。
同じ考え方で、その宿泊が事故によって必要になったと認められる範囲で請求できます。領収書を残しておいてください。
付添いを頼まれている場合はどうなりますか。
主治医から付き添うように言われている場合など、被害者に付き添う必要がある場合には、そこへ通う交通費が認められます。指示を受けたかどうかは、診療の記録などに書かれているかで確かめます。
けがが重篤とまではいえません。それでも請求できますか。
請求すべき項目です。認められる範囲は交渉によりますが、初めから諦める理由はありません。事故との関係を説明できる交通費を整理して、領収書などと併せて示していきます。

ご家族が入院された方へ
面会に行った日を記録し、切符や搭乗券の控え、宿泊の領収書を残しておいてください。あわせて、被害者の診断名と入院中の状態が分かる資料をご用意ください。保険会社から賠償額の案が届いたら、請求したご家族の交通費や宿泊費が含まれているかを確かめてください。
本稿は、ご家族が交通事故で入院された方に向けて、駆けつけやお見舞いの費用についての一般的な考え方を整理したものです。認められる範囲は、被害者の症状の程度やご家族との関係などによって異なります。個別の事案については、資料に基づく検討が必要です。

