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親権・養育費・財産分与の決め方から、離婚届の提出まで
協議離婚は、夫婦が話し合って離婚に合意し、離婚届を出して受理されることで成立します。
子のこととお金のことを先に話し合い、決めた内容を書面にしてから離婚届を出す、という順番で進めます。
この記事の結論
- 離婚届は、本籍地か所在地の市区町村役場に、成年の証人2人の署名をもらって出します。届け出た日に離婚の効力が生じます。
- 未成年の子がいるときは、親権者を父母の双方とするか一方とするかを決めます。決めていないと、原則として届出は受理されません。
- 財産分与と年金分割は離婚後も求められますが、2026年4月1日以後の離婚では、期限は離婚から5年です。
- お金の約束は、強制執行を受け入れる文言を入れた公正証書にしておくと、払われないときに裁判を経ずに差押えを申し立てられます。
協議離婚が成立するまでの順番
協議離婚は、裁判所を通さず、夫婦の話し合いで離婚する方法です。民法第763条が定めています。
協議離婚の基本の流れ
- 1 離婚することに夫婦が合意する
- 2 子のこと、お金のことを話し合って決める
- 3 決めた内容を離婚協議書にまとめる。必要に応じて公正証書にする
- 4 離婚届に記入し、証人2人の署名をもらって提出する
相手が離婚そのものを拒んでいるときは、協議離婚はできません。この場合は、後で述べる家庭裁判所の調停へ進みます。
話し合って決めること
決める事項は、子に関することと、お金に関することに分かれます。決めずに届け出たときの扱いは、事項ごとに違います。
| 決める内容 | 決めずに届け出たとき | |
|---|---|---|
| 親権者 | 父母の双方か、一方か | 未成年の子がいれば、原則として受理されない |
| 養育費 | 金額、支払方法、いつまで払うか | 2026年4月1日以後の離婚なら、子を主に育てる親は法定養育費を請求できる |
| 親子交流 | 別れて暮らす親と子が会う頻度や方法 | 離婚後に話し合うか、家庭裁判所で決める |
| 財産分与 | 婚姻中に築いた財産の分け方 | 離婚から5年以内なら、家庭裁判所に申し立てられる |
| 年金分割 | 厚生年金の記録を分ける割合 | 離婚の翌日から5年以内に請求する |
財産分与と年金分割の「5年」は、2026年4月1日以後に離婚した場合です。それより前に離婚した場合は2年です。
相手の不貞(不倫)や暴力が離婚の原因であるときは、慰謝料の額と支払方法も話し合います。
親権者は、共同にするか単独にするかを決める
2026年4月1日から、離婚後も父母の双方を親権者とする共同親権を選べるようになりました。
協議離婚では、父母の話し合いで、双方を親権者とするか、一方とするかを決めます(民法第819条第1項)。
共同親権にする場合でも、一方を監護者と定めたり、平日と週末で子を見る分担を決めたりできます。
話し合いで決まらないときは、家庭裁判所に親権者の指定を申し立てます。申立てをしていれば、その旨を書いて離婚届を出せます。
養育費と親子交流も、離婚の前に話し合う
民法第766条第1項は、協議離婚の際に、養育費や親子交流などを話し合いで決めると定めています。その際は、子の利益を最も優先します。
未成年の子がいれば、離婚届で、子の世話の分担や親子交流、養育費を決めたかどうかも答えます。
2026年4月1日以後に養育費を決めずに離婚した場合、離婚の時から続けて子を主に育てている親は、相手に法定養育費を請求できます。
法定養育費の額は、子1人につき月2万円です。
ただし、支払う側が、支払う力がないことなどを証明すれば、支払を拒めます。
法定養育費は、正式な取決めまでのつなぎです。取り決めた日、審判が確定した日、子が18歳になった日の、最も早い日に終わります。
双方の収入に見合った額を受け取るには、話し合いか家庭裁判所の手続で、養育費の額を決めます。

財産分与と年金分割
財産分与は、夫婦が婚姻中に共に築いた財産を、離婚の際に分け合う制度です。
財産を築いたことへの貢献は、違いが明らかでなければ等しいものとされます。分ける割合は、原則として2分の1ずつです。
話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に申し立てて決めてもらいます。
年金分割は、結婚していた間の厚生年金の記録を、2人で分け合う仕組みです。
このうち合意分割では、分ける割合を夫婦の合意か裁判手続で定めます。
一方が国民年金の第3号被保険者だった2008年4月以後の期間は、その人が請求すれば、合意がなくても2分の1ずつ分けられます(3号分割)。
決めたことは書面にし、お金の約束は公正証書も考える
離婚協議書を作ることは法律上の義務ではありません。それでも、決めた内容を明確にするため、書面に残しておきます。
養育費などお金の約束は、公証人に公正証書にしてもらう方法があります。
公正証書に、払わないときは強制執行を受けると認める文言を入れておけば、裁判を経ずに差押えを申し立てられます(民事執行法第22条第5号)。
2026年4月1日からは、養育費の取決めを書いた父母の文書があれば、公正証書がなくても差押えを申し立てられます。
ただし、この方法で取り立てられるのは、同日以後に生じる養育費のうち、子1人当たり月8万円までです。
話し合いがまとまらないとき
話し合いがまとまらないときや、話し合いができないときは、家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てます。
調停の場では、離婚するかどうかに加えて、子の親権者やお金の条件もまとめて話し合えます。
離婚の裁判を起こすには、原則として、先に調停を申し立てる必要があります(家事事件手続法第257条第1項)。
よくある質問
協議離婚の離婚届の証人は誰に頼めばよいですか。
成年の人2人に頼みます。民法は、成年であることのほかに、証人の条件を定めていません。
協議離婚と調停離婚の違いは何ですか。
協議離婚は、夫婦だけで話し合い、離婚届を出して成立します。調停離婚は、家庭裁判所の調停で合意し、それが調書に記載された時に成立します。
共同親権にすると、子のことは全部2人で決めるのですか。
食事や服装など日常のことは、一方だけで決められます。子の転居や、進路に影響する進学先の決定などは、原則として2人で決めます。一方を監護者と定めた場合は、監護者が子の住む場所や教育を一人で決められます。
共同親権でも、一方だけで決められる場合はありますか。
DVや虐待からの避難など、急ぐ事情があるときは一方だけで決められます。家庭裁判所が一方を親権行使者に指定した事項も同じです。

話し合いの前に取り寄せるもの
年金分割の割合を話し合うときは、年金事務所などに「年金分割のための情報通知書」を請求して取り寄せてください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

