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慰謝料が認められる事情、費用の分け方、残しておく証拠を解説します
お互いに合意して性交渉をし、妊娠して中絶をしたというだけでは、原則として慰謝料は認められません。ただし、性交渉や中絶を強いられた場合や、妊娠を伝えた後に相手が話合いを拒んだ場合などは、慰謝料を請求できることがあります。
この記事の結論
- 合意の上の性交渉による妊娠と中絶だけでは、原則として慰謝料は認められません。
- 性交渉や中絶の強要、避妊についての嘘、妊娠後に連絡を絶つなどの不誠実な対応があれば、慰謝料を請求できることがあります。
- 中絶費用の分け方は話し合って決めます。男女で半分ずつ負担することが目安とされています。
合意の上の妊娠と中絶だけでは、慰謝料の理由にならない
慰謝料は、相手の違法な行為によって権利や法律上保護される利益を侵害され、精神的な苦痛を受けた場合に請求できます。民法第709条と第710条が、その根拠です。
お互いに合意した性交渉で妊娠し、中絶を選んだというだけでは、相手が権利を侵害したとは言えません。そのため、原則として慰謝料は認められません。
慰謝料を請求できる主な場合
相手の行動に違法と言えるものがあれば、慰謝料を請求できることがあります。
慰謝料が問題になる主な場合
- 同意していないのに性交渉をされた
- 暴力や脅しによって中絶をさせられた
- 避妊していると嘘をつかれた
- 妊娠を伝えた後、連絡を絶たれた、話合いを拒まれた
- 既婚であることを隠されていた
- 妊娠を理由に一方的に婚約を破棄された
男性にも、妊娠と中絶による女性の身体的・精神的な負担を軽くし、経済的な負担も分かち合うよう努める義務があるとされています。中絶するかどうかの判断を女性一人に任せきりにし、話合いにも応じないことは、この義務に反する行動として問題になります。
既婚であることを隠されていた場合の請求は、別の記事「独身と偽った既婚者に慰謝料を請求できるか」で説明しています。
慰謝料の目安
目安は解説によって幅があります。50万円から200万円程度とする事務所もあれば、100万円前後が多いとする事務所もあります。
中絶を強いられた場合など、相手の行動が悪質な場合は、300万円程度までの目安を挙げる解説が複数あります。
中絶費用の分け方
中絶の手術費用をどう分けるかは、相手と話し合って決めます。法律事務所の解説では、男女で半分ずつ負担することが目安とされています。話し合うときは、領収書で費用の額を示します。
| 内容 | 示す資料 | |
|---|---|---|
| 中絶に必要な医療費 | 手術費用、診察代、検査費 | 病院の領収書 |
| 通院交通費 | 病院への行き帰りの交通費 | 領収書 |
| 休業損害 | 手術や体調不良で仕事を休んだ分の減収 | 給与明細、勤務先の証明 |

請求の進め方と、残しておく証拠
まず相手と話し合い、支払額と支払方法が決まったら、合意の内容を示談書に残します。
話合いでまとまらなければ、裁判所の調停や訴訟で請求します。
消さずに保存しておくもの
- 妊娠を伝えた後の相手とのLINEやメールのやり取り、通話の録音
- 病院の診断書と、手術費用などの領収書
- 仕事を休んだことが分かる給与明細や勤務先の証明
相手が既婚者だと知っていた場合
相手が既婚者だと知りながら交際していた場合、相手に請求したことで、相手の配偶者に交際が知られることがあります。
その結果、相手の配偶者から、不貞を理由に慰謝料を求められるおそれがあります。
よくある質問
中絶したら相手に慰謝料を請求できますか。
双方が合意した性交渉による妊娠と中絶だけを理由とする場合は、原則として認められません。性交渉や中絶の強要、避妊についての嘘、妊娠後に話合いを拒むなどの行動があれば、請求できることがあります。
中絶の慰謝料の相場はいくらですか。
解説によって幅があり、50万円から200万円程度とするものや、100万円前後が多いとするものがあります。中絶を強いられた場合などは、300万円程度までの目安が挙げられています。
中絶費用は相手に払ってもらえますか。
費用の分け方は話し合って決めます。男女で半分ずつ負担することが目安とされています。領収書を保存してください。
妊娠を伝えたら連絡が取れなくなりました。慰謝料を請求できますか。
妊娠を伝えた後に連絡を絶つ、話合いに応じないといった対応は、慰謝料が認められる事情として挙げられています。連絡を試みた記録を残してください。

相談の前に用意するもの
相手とのメッセージの記録と、病院の診断書・領収書を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

