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2023年の刑法改正後の要件、罰金刑がないこと、時効の年数、示談の進め方を解説します
不同意わいせつ罪は、相手が「嫌だ」と思うこと、それを伝えること、又は拒み通すことが難しい状態で、わいせつな行為をしたときに成立します。法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑で、罰金刑はありません。
この記事の結論
- 2023年7月13日施行の刑法改正で、強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪が一つにまとめられました。暴行や脅迫がなくても、酒に酔ったり眠ったりして、同意しない意思を示すのが難しい状態に乗じれば成立します。
- 罰金刑がないため、起訴されれば公開の法廷で裁判を受けます。公訴時効は12年で、けがをさせた場合は20年です。
- 被害者の告訴がなくても起訴できる罪です。示談が成立すると不起訴の可能性が高まりますが、起訴するかどうかは検察官が決めます。
同意しない意思を示すのが難しい状態でのわいせつな行為が対象になる
刑法第176条第1項は、次のような行為や事情によって、相手が同意しない意思を持つこと、表すこと又は貫くことが難しい状態でのわいせつな行為を罰します。
刑法第176条第1項が挙げる行為や事情
- 暴行や脅迫を用いた、又は相手が暴行や脅迫を受けていた
- 心身の障害を生じさせた、又は相手に心身の障害があった
- 酒や薬物を飲ませた、又は相手が酒や薬物の影響を受けていた
- 相手を眠らせた、又は相手が眠っているなど意識がはっきりしていなかった
- 相手に、拒む意思を持つ、表す、又は貫く時間がなかった
- 予想外の事態で相手を怖がらせたり驚かせたりした、又は相手がそうなっていた
- 虐待を受けたことによる心理的な影響が、相手に生じていた(生じさせた場合を含む)
- 経済的・社会的な立場の影響力で受ける不利益を、相手に心配させた、又は相手が心配していた
法務省は、これらの行為や事情の程度は問わないものの、相手が同意しない意思を持つこと、表すこと又は貫くことが難しい状態になっていたことが必要だと説明しています。
わいせつな行為の例として、無理やりキスをする、胸や尻を触る、陰部を触るといった行為が挙げられています。
条文には「婚姻関係の有無にかかわらず」とあり、夫婦の間でも成立します。
この罪は2023年7月13日以後の行為に適用されます。同月12日以前の行為には、改正前の強制わいせつ罪又は準強制わいせつ罪が適用されます。
誤信させた場合と16歳未満の相手
わいせつな行為ではないと誤信させ、又は人違いをさせて、わいせつな行為をした場合も同じ罪になります。相手が既に誤信や人違いをしていることに乗じた場合も同じです(刑法第176条第2項)。
16歳未満の人に対するわいせつな行為は、相手の同意があっても罪になります(同条第3項)。
ただし、相手が13歳以上16歳未満のときに同意の有無を問わず罪になるのは、行為をした人が相手より5歳以上年上の場合です。年の差が5歳未満でも、上で挙げた状態に乗じていれば成立します。
18歳未満の人を現に監護する者(親など)が、その影響力に乗じてわいせつな行為をしたときは、監護者わいせつ罪として同じ刑で罰せられます(刑法第179条第1項)。
罰金刑はなく、起訴されれば公開の法廷で裁判になる
| 法定刑 | |
|---|---|
| 不同意わいせつ罪(刑法第176条) | 6月以上10年以下の拘禁刑 |
| 不同意わいせつ致傷罪(刑法第181条第1項) | 無期又は3年以上の拘禁刑 |
罰金刑が定められていないので、略式手続(書面の審理だけで罰金などを科す手続)は使えません。起訴されれば公開の法廷で裁判を受けます。
言い渡された刑が3年以下の拘禁刑であれば、執行猶予が付くことがあります(刑法第25条第1項)。執行猶予が付けば、すぐに刑務所に入ることはありません。
わいせつな行為に取りかかったものの遂げなかった場合も、未遂として罰せられます(刑法第180条、第43条)。
公訴時効は12年で、被害者が18歳未満なら延びる
起訴できる期間(公訴時効)は、不同意わいせつ罪が12年、人にけがをさせた不同意わいせつ致傷罪が20年です(刑事訴訟法第250条第3項)。
期間は、犯罪行為が終わった時から数えます(刑事訴訟法第253条第1項)。
被害者が当時18歳未満だったときは、18歳になる日までの期間がこれに加わります(同法第250条第4項)。たとえば被害者が当時15歳なら、時効までは約15年です。
告訴がなくても起訴でき、示談は処分を決める材料になる
不同意わいせつ罪は、被害者の告訴がなくても起訴できる罪(非親告罪)です。被害届が取り下げられても、それだけで事件が終わるわけではありません。
検察官は、犯罪の軽重や情状、犯罪後の事情を考えて、起訴しないことができます(刑事訴訟法第248条)。
被害者との示談が成立し、処罰を望まない意思が示されると、不起訴になる可能性が高まります。起訴された後も、示談は刑を決める際に考慮されます。
被害者の連絡先を知らないとき
示談を申し入れるときは、弁護士が警察や検察官に示談の意向を伝え、被害者の連絡先を尋ねます。

よくある質問
被害者が子どもだった場合、不同意わいせつの時効は延びますか。
延びます。12年の期間に、犯罪行為が終わった時から被害者が18歳に達する日までの期間が加算されます。
不同意わいせつは罰金で済みますか。
罰金刑が定められていないので、罰金では済みません。有罪になれば拘禁刑が言い渡され、執行猶予が付くかどうかが問題になります。
被害者が被害届を取り下げれば、起訴されませんか。
告訴がなくても起訴できる罪なので、取下げだけで起訴できなくなるわけではありません。起訴するかどうかは、示談の有無なども考えて検察官が決めます。
夫婦の間でも不同意わいせつ罪になりますか。
なります。刑法第176条第1項は、婚姻関係の有無にかかわらず成立すると定めています。

弁護士に相談するときに用意するもの
警察から受け取った書類や、呼出しの日時・担当者を書き留めたメモを用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。
