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警察だけで終わる場合と、検察庁へ送られた後の処分を解説します
20歳以上の人の万引き事件は、警察だけで手続を終える微罪処分と、検察庁へ事件が送られる場合に分かれます。送られた後は、不起訴、略式手続による罰金、正式な裁判のどれかになります。
この記事の結論
- 万引きは窃盗罪です。盗んだ物の金額で罪名は変わりません。
- 前科・前歴がなく、弁償が済み、店が処罰を望まない事件は、警察限りの微罪処分で終わることがあります。
- 検察庁に送られた後は、店への弁償や示談の成否が処分を大きく左右します。示談に応じない方針の店もあります。
万引きは窃盗罪に当たる
店の商品を盗む行為(万引き)は、刑法第235条の窃盗罪に当たります。法定刑は、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。
条文は、盗んだ物の金額で罪を分けていません。数百円の商品でも、罪名は窃盗罪です。
拘禁刑は、懲役と禁錮を廃止して設けられた刑で、令和7年6月1日に施行されました。同日より前の万引きには、改正前の刑(10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が適用されます(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律第441条第1項)。
捕まった後の流れ
万引きは、店員や保安員に見付かり、その場で警察へ引き渡されることが多い犯罪です。現行犯は誰でも逮捕でき、店の人が捕まえたときは、直ちに警察官などへ引き渡すことになっています(刑事訴訟法第213条・第214条)。
逮捕された場合、警察は、逮捕を続ける必要があると考えたときは、身体を拘束した時から48時間以内に事件を検察官へ送る手続をとります(同法第203条第1項・第216条)。
一方で、逮捕されずに、自宅で生活しながら捜査を受けることもあります。
警察だけで終わる「微罪処分」
警察は、捜査した事件を原則として検察官へ送ります。ただし、検察官があらかじめ指定した極めて軽い事件は、送らずに終えることができます。これが微罪処分です(刑事訴訟法第246条ただし書、犯罪捜査規範第198条)。
どの事件を指定するかの具体的な基準は、法律に定められていません。一般に目安とされるのは、前科・前歴がないこと、被害額が少なく弁償が済んでいること、店が処罰を望んでいないこと、身元引受人がいることです。
微罪処分のときに警察がとる処置(犯罪捜査規範第200条)
- 本人を厳しく訓戒し、二度としないよう戒める
- 親権者や雇主など、本人を監督する立場の人やこれに代わる人を呼び、今後の監督について注意し、請書を出してもらう
- 店への弁償や謝罪をするよう本人に諭す
微罪処分で終われば、前科はつきません。ただし、捜査を受けた記録として前歴は残ります。
14歳以上20歳未満の少年の事件は、微罪処分の対象になりません。犯罪の疑いがあれば、全て家庭裁判所へ送られます(少年法第41条・第42条)。
検察庁に送られた後の処分
検察官は、本人の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重や情状、犯罪後の事情を考えて、起訴するかどうかを決めます(刑事訴訟法第248条)。
| どのような処分か | 前科 | |
|---|---|---|
| 不起訴(起訴猶予) | 罪を犯したことは認められるが、事情を考えて起訴しない | つかない |
| 略式手続による罰金 | 本人が書面で異議がないことを示し、簡易裁判所が法廷を開かずに罰金を命じる | 罰金が確定すればつく |
| 正式な裁判 | 法廷で審理し、判決を言い渡す | 有罪判決が確定すればつく |
万引きを繰り返すと、処分は重くなる傾向があります。初めは不起訴で済んでも、次は罰金、さらに正式な裁判へと進むことがあります。
店への弁償と示談
検察庁に送られた後は、店との示談がまとまったかどうかが、処分の重さを大きく左右します。示談がまとまれば、不起訴になる可能性が高まります。
もっとも、大手のチェーン店やコンビニには、示談に一律に応じない方針をとる店もあります。

示談を断られても、謝罪文を送る方法があります。損害賠償の全額を支払おうとしたのに店が受取りを拒んだときは、法務局に供託して支払に代える方法もあります(民法第494条第1項第1号)。
やめられない万引きと窃盗症
やめたくてもやめられずに万引きを繰り返す場合、窃盗症(クレプトマニア)という精神疾患に当たる可能性があります。
こうした事情があるときは、弁護人が、本人を医療につなげるよう検察官に働き掛けることがあります。
よくある質問
万引きの初犯なら前科はつきませんか。
微罪処分や不起訴で終われば、前科はつきません。略式手続による罰金が確定した場合は、前科になります。
万引きでその場で捕まらなければ大丈夫ですか。
防犯カメラの映像や目撃者の話から、後日に逮捕されることがあります。
微罪処分の後、また警察に呼ばれることはありますか。
原則として呼ばれることはないとされています。ただし、余罪が分かった場合などは、呼ばれることがあります。

弁護士に相談するときに用意するもの
警察から受け取った書類と、店とのやり取りが分かるものを用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

