刑事事件の時効(公訴時効)は何年か ― 罪ごとの期間、数え始め、時効が止まるとき

黄色い壁に取り付けられたドーム型の防犯カメラ 刑事事件

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罪ごとの期間の決まり方と、時効が進まなくなる場合を条文に沿って解説します

刑事事件の時効(公訴時効)の期間は、原則として、罪ごとに法律が定める刑の上限で決まり、犯罪行為が終わった時から数えます。

この記事の結論

  • 窃盗と詐欺は7年、傷害は10年、暴行と器物損壊は3年です。殺人など、人を死亡させた罪で死刑が定められているものには時効がありません。
  • 起訴されると時効の進行が止まります。犯人が国外にいる間と、逃げ隠れて起訴状を届けられない間も、時効は進みません。
  • 刑事の時効が完成しても、損害賠償の請求は民法の時効で別に判断されます。

公訴時効が過ぎると、裁判は免訴で打ち切られる

公訴時効は、犯罪の後に法律の定める期間が過ぎると、その事件で刑罰を求める起訴ができなくなる制度です。

期間が過ぎた事件が起訴されたときは、裁判所は有罪か無罪かを判断せず、免訴の判決をします(刑事訴訟法第337条第4号)。

死刑以外の刑の言渡しが確定した後、一定の期間執行されなかったときの「刑の時効」(刑法第31条・第32条)は、公訴時効とは別の仕組みです。

期間は、その罪の刑の上限で決まる

時効の期間は、実際に言い渡される刑ではなく、その罪に法律が定める刑の上限で決まります(刑事訴訟法第250条)。

拘禁刑と罰金のどちらかを科せる罪は、重い方の刑を基準にします(同法第251条)。

法定刑の上限公訴時効
窃盗(刑法第235条)拘禁刑10年7年
詐欺(刑法第246条)拘禁刑10年7年
傷害(刑法第204条)拘禁刑15年10年
暴行(刑法第208条)拘禁刑2年3年
器物損壊(刑法第261条)拘禁刑3年3年
主な罪の法定刑の上限と公訴時効の期間(人を死亡させていない場合)

不同意わいせつ罪は12年、不同意性交等罪は15年と、一般の期間より長い特例があります(刑事訴訟法第250条第3項)。

これらの罪の被害者が犯罪行為が終わった時に18歳未満だったときは、18歳になるまでの期間がさらに加わります(同条第4項)。

この特例と加算は、令和5年6月23日の時点で時効が完成していなかった事件にも適用されます。改正前の強制わいせつ罪は12年、強制性交等罪は15年の特例の対象です(令和5年法律第66号附則第4条第2項・第5条)。

人を死亡させた罪で死刑が定められているもの(殺人など)には時効がない

人を死亡させた罪のうち、死刑が定められている罪には公訴時効がありません。殺人罪(刑法第199条)がこれに当たります。

人を死亡させた罪で、死刑がなく拘禁刑が定められているものは、刑の上限に応じて30年、20年又は10年です(刑事訴訟法第250条第1項)。

例えば傷害致死罪(刑法第205条)は、刑の上限が拘禁刑20年なので、時効は20年です。

殺人などの時効をなくした平成22年の法改正は、改正法が施行された時点(平成22年4月27日)で時効が完成していなかった事件にも適用されます。

数え始めは、犯罪行為が終わった時

時効は、犯罪行為が終わった時から進みます(刑事訴訟法第253条第1項)。

けがや死亡などの結果が後から生じた場合は、結果が生じた時から数えるのが判例です(最高裁判所昭和63年2月29日第三小法廷決定・刑集42巻2号314頁)。

共犯がいる事件では、最後の行為が終わった時から、共犯者全員について数えます(同法第253条第2項)。

起訴されたときや、国外にいる間は時効が進まない

時効は、その事件が起訴されると進行が止まります(刑事訴訟法第254条第1項)。管轄違いや公訴棄却の裁判で終わったときは、その確定の時から再び進みます(同項)。

共犯の一人が起訴されたときは、他の共犯者の時効も止まり、その裁判が確定した時から再び進みます(同条第2項)。

犯人が国外にいる間も、時効は進みません(同法第255条第1項)。旅行や出張などの一時的な出国でも同じです(最高裁判所平成21年10月20日第一小法廷決定・刑集63巻8号1052頁)。

犯人が逃げ隠れていて、起訴状の写しを届けられなかった期間も、時効は進みません(同項)。

一方、逮捕や勾留をされただけでは、時効の進行は止まりません。

窓の並ぶ建物の外壁と手前の木
窓の並ぶ建物の外壁

損害賠償の時効は、民法で別に決まる

公訴時効が完成しても、被害者が損害賠償を求める権利がそれだけで消えるわけではありません。民事の請求は民法の時効によります。

不法行為の損害賠償請求権は、損害と加害者を知った時から3年間、又は行為の時から20年間行使しないと、時効によって消滅します(民法第724条)。

人の生命や身体を害された場合は、知った時からの期間が5年になります(民法第724条の2)。ただし、令和2年4月1日の時点で3年の時効が完成していたときは、5年にはなりません(平成29年法律第44号附則第35条第2項)。

よくある質問

公訴時効は、犯罪行為が終わった日も1日として数えますか。

数えます。犯罪行為が終わった日を、時刻にかかわらず1日目とします(刑事訴訟法第55条第1項)。最後の日が土曜日、日曜日や祝日に当たっても、期間は延びません(同条第3項)。

罰金しかない罪の時効は何年ですか。

罰金に当たる罪の公訴時効は3年です(刑事訴訟法第250条第2項第6号)。拘留又は科料だけの罪は1年です(同項第7号)。

親告罪の告訴の期限は、公訴時効と同じですか。

違います。親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月を過ぎるとできなくなります(刑事訴訟法第235条)。公訴時効とは別の期限です。


弁護士に相談するときに用意するもの

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本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

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