威力業務妨害と偽計業務妨害の違い ― クレーム、いたずら注文、営業妨害はどこから罪になるか

雨のしずくが付いた窓とぼやけた緑 刑事事件

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店や会社への抗議と犯罪の境界、刑罰、実害が出ていない場合を解説します。

業務妨害罪は、店を休業させた場合だけの犯罪ではありません。威圧する方法か、だます方法かによって、問題になる条文が変わります。

この記事の結論

  • 威力業務妨害罪は威圧や実力による妨害、偽計業務妨害罪はうそや相手の勘違いを利用した妨害が対象です。
  • 両罪の刑の重さは同じです。拘禁刑なら3年、罰金なら50万円が上限になります。
  • 実際に営業が止まらなくても、業務を妨げるおそれのある行為なら犯罪が成立します。

威力と偽計は、業務を妨げる方法の違い

威力業務妨害罪は、刑法第234条の犯罪です。相手の意思を抑え込むほどの力や威勢を示して、業務を妨げる行為が対象になります。

人を殴ることだけが威力ではありません。大声で威圧して店の仕事を妨げる行為や、集団で入口をふさぎ客の入店を妨げる行為も含まれます。

偽計業務妨害罪は、刑法第233条に定めがあります。だましたり、相手が事情を知らないことや勘違いを利用したりして、仕事を妨げる犯罪です。

種類方法の例
威力による妨害店内で怒鳴り続ける、集団で出入口をふさぐ
偽計による妨害注文する意思がないのに架空の注文をする
虚偽の風説による妨害うその情報を広めて営業を妨げる。刑法第233条の対象
典型的な方法の比較

いたずら注文や、うその情報も対象になる

飲食店を困らせるため、受け取るつもりのない料理を注文して配達させる行為は、偽計による妨害に当たります。店を訪れず、電話で行っても対象です。

営業を妨げるため、ある店の商品が不良品ばかりだという虚偽の情報を広める行為も処罰の対象です。相手の信用を傷付ける行為も、刑法第233条が規定しています。

一方、単なる注文の間違いや、急な事情によるキャンセルを、故意の妨害と同じには扱えません。刑法第38条第1項は、原則として故意のない行為を処罰しないと定めています。

クレームなら、どの程度で犯罪になるのか

商品や接客への不満を伝えること自体が、直ちに威力業務妨害となるわけではありません。抗議の内容に加え、言い方、長さ、回数、その場の状況が問題になります。

返金を求める理由があっても、店内で怒鳴り続けて仕事を妨げれば、その手段が犯罪として問題になります。正当な苦情かどうかだけで結論は決まりません。

「何分まで」「何回まで」なら許されるという一律の線はありません。店員との会話や電話の内容、時間、周囲への影響を具体的に検討します。

白い机に置かれた茶色のメモ帳と鉛筆
相談には、連絡の日時や内容が分かる資料を用意します。

店が休業していなくても成立する

業務妨害罪は、現実に仕事が止まったことまで必要としないと解されています。仕事を妨げる危険がある行為なら、営業を続けられた場合も対象になります。

売上げが下がったことや、休業したことの証明がなければ犯罪にならない、という理解は誤りです。ただし、業務を妨げるおそれのない行為まで処罰されるわけではありません。

この点と、未遂を処罰するかどうかは別です。刑法第233条・第234条の業務妨害罪には、未遂を処罰する特別の定めはありません。

刑罰と、非営利の活動への妨害

偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪は、いずれも3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。刑法第233条・第234条に定めがあります。

守られる業務は、営利目的の商売だけではありません。職業や社会生活上の立場に基づき、継続して行う活動も含まれます。

他方、個人の趣味や家庭での家事まで、全て業務妨害罪の業務に当たるわけではありません。どのような活動を妨げたのかも、判断の対象です。

警察から連絡が来たときの相談資料

相談には、電話や面会の日時、やり取りの録音、送ったメッセージ、注文内容の控えを用意してください。苦情の発端となった契約書や領収書もあれば持参します。

根拠法令:刑法第233条・第234条など(e-Gov法令検索)。

よくある質問

業務妨害罪は何回電話したら成立しますか。

回数だけで決まるものではありません。電話の内容、掛け方、時間帯、繰返しの状況などから、業務を妨げる方法や危険があるかを検討します。

売上げが減っていなくても業務妨害になりますか。

現実の売上減少は、犯罪の成立に必須ではありません。偽計や威力などによって業務を妨げる危険があれば、処罰の対象になります。

無償で活動する団体への妨害も対象ですか。

利益を得る活動であることは要件ではありません。社会生活上の立場に基づき、継続して行う活動なら、非営利でも業務に当たります。


相談に持参する資料

相談に持参する資料

警察から業務妨害について連絡を受けたら、録音、メッセージ、注文履歴、苦情の発端となった書類をそろえて弁護士へ相談してください。

本稿は一般的な制度の説明です。個別の事件では、具体的な言動と資料に基づく検討が必要です。

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