閲覧数 16回
対象になる休業、平均賃金の出し方、支払われないときの対応まで解説します
会社の都合で仕事を休まされたら、その日の分として、平均賃金の6割以上の休業手当を会社に請求できます(労働基準法第26条)。
この記事の結論
- 業績の悪化による操業の短縮など、会社側の経営や管理の事情で休まされた場合も、休業手当の対象です。
- 額は平均賃金の6割以上です。平均賃金は、原則として直前3か月の賃金の総額を、その期間の暦の日数で割って出します。
- パート・アルバイトも対象です。地震などの天災で、会社が最大限の注意を払っても避けられない休業は対象外とされています。
- 支払われないときは、会社に支払を求め、労働基準監督署に申告できます。請求できる期間は、支払日から3年です。
対象は「会社側の事情」で休まされたとき
条文の言葉では「使用者の責に帰すべき事由」とされ、会社の故意や過失がある場合に限られません。
最高裁判所昭和62年7月17日第二小法廷判決・民集41巻5号1283頁は、会社側に起因する経営・管理上の障害による休業もこれに含むと判断しました。
休業手当の対象とされる例
- 業績の悪化による操業の短縮や一時帰休
- 機械の故障や資材の不足で作業ができず、休業したとき
- 親会社の経営難のため、下請の会社が資材や資金を確保できずに休業したとき
一方、原因が会社の外で起き、通常の経営者が最大限の注意を払っても避けられない休業は、不可抗力として対象外とされています。地震などの天災がその例です。
厚生労働省は、不可抗力と言えるには、在宅勤務や他の業務への配置など、休業を避ける努力を最大限尽くしている必要があるとしています。
額は平均賃金の6割以上
1日当たりの額は、平均賃金に0.6以上を掛けた額です。休業の対象は、もともと働く義務のあった日や時間です。
平均賃金は、休業の日の前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の暦の日数で割った額です。休業が2日以上続くときは、最初の休業日を基準にします。
賃金の締切日があれば、直前の締切日から3か月をさかのぼります。雇われてから3か月に満たない人は、雇われた後の期間で計算します。
賞与のように3か月を超える期間ごとに支払われる賃金や、臨時に支払われた賃金は、総額に入れません。
3か月の中に、会社都合の休業や仕事によるけがの療養で休んだ期間などがあれば、その日数と賃金を除いて計算します。
賃金が時給や日給で決まっている人は、賃金の総額を働いた日数で割った額の6割が最低保障額です。暦の日数で割った額がこれより低ければ、最低保障額を平均賃金とします。
月給の部分と時給の部分の両方がある人は、月給の部分の総額を暦の日数で割った額と、時給の部分の最低保障額を足します。その合計が通常の計算より高ければ、合計を平均賃金とします。
| 月給30万円の人 | 時給制で3か月に36日働き、計21万6000円の人 | |
|---|---|---|
| 総額を暦の日数で割った額 | 90万円÷92日=約9783円 | 21万6000円÷92日=約2348円 |
| 最低保障額 | なし | 21万6000円÷36日×0.6=3600円 |
| 休業手当(1日当たり6割) | 約9783円×0.6=約5870円 | 3600円×0.6=2160円 |
1日のうち一部の時間だけ休まされた日も対象です。その日に支払われた賃金が平均賃金の6割に満たなければ、差額を受け取れます。

パート・アルバイト・派遣社員も対象
労働基準法は、職業の種類を問わず、事業に使用されて賃金を支払われる人を労働者としています。パート・アルバイト・契約社員も休業手当の対象です。
派遣社員の場合、会社側の事情に当たるかどうかは、派遣先ではなく、雇い主である派遣元について判断します。
会社に故意・過失があれば、賃金の全額を請求できる
休業が会社の故意・過失などによるときは、民法第536条第2項により、賃金の全額を請求できると解されています。休業手当の定めは、この民法の定めを排除するものではありません。
| 休業手当(労働基準法第26条) | 賃金の全額(民法第536条第2項) | |
|---|---|---|
| 対象となる休業 | 会社側の経営・管理上の事情を広く含む(不可抗力を除く) | 会社の故意・過失又はこれと同視すべき事情によるもの |
| 受け取れる額 | 平均賃金の6割以上 | 本来の賃金の全額 |
| 付加金 | 裁判所が命じることができる | 対象外 |
休業手当と休業補償は別のもの
名前が似ていますが、休業補償は、仕事によるけがや病気の療養のために働けず、賃金を受けられないときの補償です。
| 休業手当 | 休業補償 | |
|---|---|---|
| 休む理由 | 会社側の事情で休まされた | 仕事によるけがや病気の療養で働けず、賃金を受けられない |
| 根拠 | 労働基準法第26条 | 労働基準法第76条、労働者災害補償保険法第14条 |
| 額 | 平均賃金の6割以上 | 平均賃金の6割(労災保険からは、休業4日目から、休業補償給付として給付基礎日額の6割と、休業特別支給金として2割) |
支払われないときにすること
休業手当は賃金として扱われ、休業した日を含む給料の計算期間の、通常の支払日に支払われるべきものです。支払日を過ぎても支払われなければ、会社に支払を求めます。
会社が労働基準法に違反しているときは、労働基準監督署に申告できます。会社は、申告を理由に解雇などの不利益な扱いをしてはなりません。
労働基準法は、休業手当を支払わない会社に30万円以下の罰金を定めています。裁判で求めれば、未払額に加えて同じ額の付加金を払うよう、裁判所が命じることもできます。
休業手当を請求できる期間は、支払日から3年です。付加金も、違反のあった時から3年以内に請求する必要があります。
よくある質問
アルバイトでも休業手当はもらえますか。
もらえます。労働基準法上の労働者であれば、雇用形態にかかわらず対象です。時給制の人には、平均賃金の最低保障額の計算があります。
決まっていたシフトを会社の都合で取り消されたら、休業手当は出ますか。
厚生労働省は、シフト制で働く人も、会社側の事情で休まされた場合は休業手当が必要だとしています。確定したシフトの労働日を変えるには、会社と本人の双方の合意が必要とされています。
休業手当は月給の6割ですか。
月給の6割ではありません。丸1日休まされた日の最低限の額は、平均賃金×0.6です。平均賃金は、原則として直前3か月の賃金の総額を暦の日数で割った額です。
休業手当と休業補償の違いは何ですか。
休業手当は会社側の事情で休まされたときの手当です。休業補償は、仕事によるけがや病気の療養で働けず、賃金を受けられないときの補償です。

相談の前に用意するもの
休業前3か月分の給与明細、休業を命じられた通知やメール、勤務予定表を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

