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裁判で離婚が認められる事情、慰謝料、証拠の残し方を解説します
セックスレスであるというだけでは、裁判で離婚は認められにくいとされています。正当な理由なく性交渉を拒まれ続けたかなどの事情が問われます。
この記事の結論
- 夫婦が合意すれば、協議離婚でも調停離婚でも、セックスレスを理由に離婚できます。
- 裁判では、民法第770条第1項第4号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるかが問われます。正当な理由のない拒否が続いた場合などに、当たる可能性があります。
- 病気や高齢など正当な理由がある場合や、夫婦が互いに納得している場合は、裁判で離婚は認められにくいとされています。
- セックスレスは、配偶者以外の人との性的な関係を正当化する理由になりません。
合意があれば、セックスレスを理由に離婚できる
夫婦が合意し、離婚届を出せば、理由がセックスレスでも協議離婚が成立します(民法第763条、第764条、第739条第1項)。
家庭裁判所の調停では、法律で定められた離婚原因がなくても、夫婦が合意すれば離婚できます。合意の内容が調書に記載されると、調停が成立します(家事事件手続法第268条第1項)。
話合いで合意できないときは、原則として先に離婚調停を申し立てます(家事事件手続法第257条第1項)。調停でも合意できず、なお離婚を求めるときは、離婚の訴えを起こします。調停の進み方は、別の記事「離婚調停はどう進むのか」で説明しています。
裁判では「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるかが問われる
民法第770条第1項は、第1号から第3号で、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明を離婚原因に挙げています。
性交渉がないこと自体はこれらに当たらないので、第4号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるかが争点になります。
裁判所は、セックスレスが続いている期間や、そうなった経緯と原因を見て判断します。性交渉を拒むことに正当な理由があるかも、重く見られます。
第4号には、何年続けば当たるという期間の定めはありません。
離婚が認められやすい事情と、認められにくい事情
裁判では、次のような事情から、夫婦関係が壊れて元に戻る見込みがないか(婚姻関係の破綻)が判断されます。
| 認められやすい事情 | 認められにくい事情 | |
|---|---|---|
| 拒否の理由 | 正当な理由がないのに、一方的に拒まれ続けている | 病気など、性交渉が難しい正当な理由がある |
| 夫婦の意思 | 子どもを望んでいるのに、拒まれ続けている | 性交渉をしないことに、夫婦が互いに納得している |
| 原因 | 相手の不貞行為が原因になっている | 単身赴任などで、物理的に性交渉ができない |

慰謝料は、正当な理由のない拒否で夫婦関係が壊れたときに問題になる
正当な理由なく性交渉を拒み続け、そのために夫婦関係が壊れたときは、拒んだ側に慰謝料を請求できる可能性があります。根拠は、不法行為による損害賠償を定めた民法第709条と第710条です。
セックスレスの原因が病気や性機能の障害にあるときは、慰謝料は認められにくいとされています。
セックスレスを理由とする慰謝料は、高額にはなりにくいとされています。目安を100万円前後までとする法律事務所の解説が複数あります。
相手の不貞が原因のとき
相手が不貞行為をしたためにセックスレスになったときは、不貞行為そのものを理由に離婚と慰謝料を求めることができます(民法第770条第1項第1号)。
証拠になるのは、拒否の様子と期間が分かる記録
裁判では、性交渉がない期間や原因、拒否の様子を証拠で示す必要があります。
証拠として挙げられることが多いもの
- 誘ったことや拒まれたことを、日付とともに書いた日記やメモ
- 拒否の言葉が残ったメールやLINEのやり取り
- セックスレスについて話し合ったときの会話の録音
日記だけでなく、メールやLINE、話合いの録音も併せて残してください。
セックスレスを理由に不倫をすると、自分が責任を負う
セックスレスであっても、配偶者以外の人と性的な関係を持てば不貞行為に当たり、配偶者から慰謝料を請求されることがあります。
不貞行為によって夫婦関係を壊した側(有責配偶者)からの離婚の請求は、原則として認められないとされています。詳しくは、別の記事「不倫をした側から離婚できるか」で説明しています。
不貞行為の時点で、夫婦関係が既に破綻していたときは、慰謝料が認められない場合もあります。この点は、別の記事「夫婦関係が破綻した後の不貞(不倫)でも慰謝料を払うのか」で説明しています。
よくある質問
セックスレスが何年続けば離婚できますか。
法律に期間の定めはありません。期間のほか、セックスレスになった経緯や原因も判断の材料になります。
妻(夫)に性交渉を拒否され続けたら、慰謝料を請求できますか。
正当な理由のない拒否が続き、そのために夫婦関係が壊れたときは、請求できる可能性があります。拒否の理由が病気などにあるときは、認められにくいとされています。
セックスレスだったので浮気をした場合、慰謝料を払わなくてよいですか。
セックスレスは、浮気を正当化する理由にはなりません。夫婦関係が既に破綻していた場合を除き、慰謝料を請求されることがあります。

相談の前に用意するもの
性交渉がなくなった時期、話し合った日、拒まれた日を書いたメモを用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

