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収入が減った、相手の収入が増えたなどの事情で、決まった婚姻費用を減らす方法を解説します
いったん決まった婚姻費用も、その後に事情が変わったときは、減額を求められます。ただし、相手が応じるか、家庭裁判所が減額を認めるまでは、決まった額を払う必要があります。
この記事の結論
- 減額では、額を決めた時の前提となった事情がその後に変わったかが問われます。収入が減ったというだけでなく、減った理由や程度も見られます。
- 自分の意思で仕事を辞めて収入が下がった場合は、減額が認められなかった裁判例があります。
- 話合いで減額に合意できなければ、家庭裁判所の手続で額を決めることになります。
決めた後でも減額を求められる
民法第880条は、扶養の程度について協議や審判があった後に事情が変わったときは、家庭裁判所がその内容を変更できると定めています。
婚姻費用も、この規定を類推して変更できると考えられています。夫婦の話合いで決めた額も、調停や審判で決めた額も、変更を求める対象になります。
減額が認められるための条件
減額が認められるのは、額を決めた時の前提となっていた事情が、その後に大きく変わった場合です。
家庭裁判所が見る主な点
- 額を決めた後に、収入や家族などの状況が変わったか
- その変化を、決めた時点で見込めたか
- 変化が、減額を求める人の責任で生じたものか
- 元の額のままでは、当事者の間で著しく不公平になるか
額を決めた時に見込めた事情は、後で現実になっても、原則として事情の変更とは扱われません。
決めた額が初めから高すぎたと後で気付いたというだけでは、減額は原則として認められません。
収入が減ったとき
支払う側の収入が減ったことは、減額の理由として最も多く主張されるものです。
収入が2割程度減った場合には、事情の変更を認める例が多いと指摘されています。一方で、約3割減っても減額が認められなかった裁判例があります。
残業代や賞与の多少の増減は、通常、額を決めた時に織り込まれていると考えられ、減額の理由になりにくいとされています。
参考・自分から収入を下げた場合
大阪高等裁判所平成22年3月3日決定(家庭裁判月報62巻11号96頁)の事案です。
勤務先を辞めて大学の研究生になり、収入が約3割下がった歯科医が、減額を求めました。
裁判所は、退職がやむを得なかったことを示す証拠がないとしました。
そして、年齢や資格からみて以前と同じ程度の収入を得る力があるとして、減額を認めませんでした。
退職や減収を理由に減額を求めるときは、それがやむを得なかったことを資料で示す必要があります。
相手の収入が増えたとき、子が独立したとき
収入の減少のほかにも、次のような事情が減額の理由になり得ます。
| 減額の理由になり得るか | 認められにくい場合 | |
|---|---|---|
| 受け取る側の収入が増えた | 増え方の程度によっては理由になる | パートを始めた程度で、一時的な収入にとどまる場合 |
| 子が成人して独立した | 理由になると考えられている | ― |
話合いから調停、審判へ
減額を求める流れ
- 相手に事情を伝え、減額について話し合う
- 話合いがまとまらなければ、家庭裁判所に減額の調停を申し立てる
- 調停が成立しなければ審判の手続に移り、裁判官が額を決める
調停の申立先は、相手の住所地を受け持つ家庭裁判所です。夫婦で合意すれば、別の家庭裁判所にも申し立てられます。
費用は収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手です。郵便切手の額は裁判所ごとに異なります。
調停では、双方が収入の資料を出し、算定表を参考に話し合います。給与所得者は源泉徴収票、自営業者は確定申告書の控えを出すのが基本です。

決まるまでは、決めた額を払う
事情が変わっても、相手との合意か裁判所の判断がない限り、決めた額は変わりません。
調停や審判、公正証書で決めた額を自分の判断で減らすと、給料などを差し押さえられるおそれがあります。
よくある質問
転職して給料が下がったら、婚姻費用は減額できますか。
転職がやむを得なかったかが見られます。自分の意思で低い収入を選んだとされると、働けば得られる収入を基に考えられ、減額されないことがあります。
婚姻費用の減額は、いつの分から認められますか。
個別の事情を踏まえて判断されます。減額を求めた時からとする考え方が多数とされていますが、裁判が確定した時からとされることもあります。
算定表が新しくなったら、婚姻費用の減額を求められますか。
算定表が改定されたことだけでは、事情の変更に当たらないとされています。

減額を相談する前に用意するもの
婚姻費用を決めた調停調書・審判書・合意書と、自分の収入が分かる源泉徴収票や確定申告書を用意してください。相手の収入資料が手元にあれば、それも持参してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。
