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養子縁組の有無で変わる扱いと、減額を求める手続を説明します
再婚しただけでは、養育費が自動的に減ったり、なくなったりすることはありません。
金額を変えるには、元配偶者との合意か、家庭裁判所の調停・審判が必要です。減額が認められるかどうかは、誰が再婚したかと、子どもとの養子縁組の有無で大きく変わります。
この記事の結論
- 受け取る側が再婚し、再婚相手と子どもが養子縁組をすると、養親が先に子どもを扶養する立場になります。支払う側の減額・免除が認められる可能性が高くなります。
- 養子縁組をしていない再婚相手は、原則として子どもを扶養する法律上の義務を負いません。この場合、再婚しただけでは支払義務は変わりません。
- 支払う側の再婚で子どもが生まれた、連れ子を養子にしたといった事情があれば、扶養する家族が増えたことが考慮され、減額が認められる可能性があります。
- 減額は、原則として減額を求めた時点からの分が対象です。減額を求めただけでは支払額は変わらないので、変更が決まるまでは取決めどおりに支払ってください。
再婚だけでは養育費は変わらない
民法第766条第3項は、家庭裁判所が必要と認めるときに、養育費などの定めを変更できるとしています。裁判所の案内も、再婚などの事情の変更があれば、決まった養育費の見直しを求められると説明しています。
見直すには、父母の話合いで合意するか、家庭裁判所の調停・審判で決める必要があります。支払う側が一方的に金額を減らすことはできません。
受け取る側が再婚したとき ― 養子縁組の有無で分かれる
子どもと暮らす親が再婚したときは、再婚相手と子どもが養子縁組をしたかどうかで扱いが変わります。
| 養子縁組をした | 養子縁組をしていない | |
|---|---|---|
| 再婚相手と子ども | 法律上の親子になり、再婚相手(養親)に扶養の義務が生じる | 法律上の親子ではなく、再婚相手に原則として扶養の義務はない |
| 扶養の順番 | 養親が先に扶養し、支払う側の実の親は足りない分を補う立場になる | 実の父母が扶養する立場のまま |
| 減額・免除 | 認められる可能性が高い | 再婚だけでは変わらない |
養子縁組をすると、子どもはその日から再婚相手の子として扱われます(民法第809条)。このため、まず養親が子どもを養い、養育費を支払う側の実の親はその次になると考えられています。
ただし、普通の養子縁組では、実の親と子どもの親子関係は終わりません。養親の資力だけでは足りないときは、支払う側の実の親にも一定の養育費の負担が残ります。
養子縁組をしていなくても、再婚相手から多額の援助を受けている場合などには、減額が認められることがあります。
支払う側が再婚したとき ― 扶養する家族が増えたか
養育費を支払う側が再婚したときは、扶養しなければならない家族が増えたかどうかが分かれ目です。
減額が認められやすい例
- 再婚相手との間に子どもが生まれた
- 再婚相手の連れ子と養子縁組をした
- 再婚相手に働けない事情があり、収入がない
反対に、再婚相手が働いて自分の生活費をまかなえ、新しく養う家族もいないときは、減額は難しいとされています。連れ子と養子縁組をしていなければ、原則として連れ子を扶養する法律上の義務はありません。

取決めのときに予定されていた再婚は理由になりにくい
金額を決めた当時から見込めていた事情は、後になって減額の理由として持ち出しにくくなります。
例えば、当時既に結婚や縁組の予定がはっきりしていたなら、それも織り込んで金額を決めたと見られるおそれがあります。
減額を求める手続 ― 話合いから調停・審判へ
まず相手と話し合い、合意できたら、その内容を書面に残します。
相手が話合いに応じないときや折り合わないときは、家庭裁判所の調停で減額を求めます。調停で話がつかなければ審判に移り、裁判官が事情全体を見て決めます。
調停の申立ての概要
- 申立先:原則は相手が住む地域の家庭裁判所。父母が合意した家庭裁判所でもよい(家事事件手続法第245条第1項)
- 費用:子ども1人につき収入印紙1200円分と、連絡用の郵便切手
- 主な書類:申立書と写し1通、子どもの戸籍謄本、申し立てる人の収入が分かる資料(源泉徴収票の写し等)
減額はいつの分から認められるか ― 支払は自己判断で止めない
家庭裁判所で減額が認められても、原則として、減額を求めた時点からの分が対象になります。
強制執行を受け入れる文言のある公正証書や、調停・審判で決めた養育費を自己判断で止めると、給料や預貯金を差し押さえられるおそれがあります。
よくある質問
元妻が再婚したら、養育費は払わなくてよいですか。
支払義務はなくなりません。子どもが再婚相手と養子縁組をしたときは、話合いや調停で減額・免除を求めることができます。
再婚したことを元夫(元妻)に知らせる義務はありますか。
再婚の報告を求める条文はなく、伝えなくても法律違反にはなりません。ただし、離婚協議書などで報告を約束しているときは、その約束に従う必要があります。
養育費の減額は、いつの分から認められますか。
原則として、減額を求めた時点(調停の申立て時など)からの分です。

相談の前に用意するもの
養育費を決めた協議書・公正証書・調停調書、双方の収入が分かる資料、再婚や養子縁組が分かる戸籍謄本を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

