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訴える裁判所、手数料と弁護士費用、審理の流れと期間、判決の後の届出を説明します
離婚調停が不成立で終わった後も離婚を求めるなら、家庭裁判所に離婚の訴えを起こします。
判決で離婚が認められて確定すれば、相手が反対していても離婚が成立します。
この記事の結論
- 離婚の訴えは、夫か妻のどちらかが住む地域を受け持つ家庭裁判所に起こします。調停をした家庭裁判所で扱われることもあります。
- 離婚だけを求める訴えの手数料は1万3000円です。財産分与や養育費も求めると、1件ごとに1200円が加わります。
- 令和7年に終わった離婚訴訟の平均審理期間は15.5か月でした。判決で終わったものと和解で終わったものが、それぞれ約4割です。
- 控訴がないまま、夫婦それぞれの控訴期間が過ぎると判決は確定します。訴えた側は、確定から10日以内に離婚届を出します。
調停を経てから、家庭裁判所に訴える
離婚の訴えは、原則として、先に家庭裁判所の調停を経なければ起こせません(家事事件手続法第257条第1項)。
訴える先は、夫又は妻の住所地を受け持つ家庭裁判所です(人事訴訟法第4条第1項)。調停をした家庭裁判所が別の場所なら、そこで扱われることもあります(同法第6条)。
調停不成立の通知を受けた日から2週間以内に訴えると、調停を申し立てた時に訴えたものとみなされます(家事事件手続法第272条第3項)。
裁判で離婚が認められるのは、民法第770条第1項が定める次の場合です。
離婚の訴えを起こせる場合(民法第770条第1項)
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者が生きているかどうか、3年以上分からないとき
- ほかに、夫婦関係を続けられない重大な事情があるとき
最初の3つに当たる場合でも、裁判所は、一切の事情から婚姻を続けるのが相当と認めれば、請求を退けることができます(同条第2項)。
財産分与・養育費・親権も同じ裁判で決める
離婚と一緒に、財産分与、養育費などの子の監護に関すること、年金分割の割合を決めるよう求められます(人事訴訟法第32条第1項)。これを附帯処分といいます。
未成年の子がいるときは、裁判所が判決で、父母の双方又は一方を親権者と定めます(民法第819条第2項)。子が15歳以上なら、裁判所はその子の陳述を聴かなければなりません(人事訴訟法第32条第4項)。
離婚の原因となった事実による慰謝料も、離婚の訴えと一緒に請求できます(同法第17条第1項)。
訴状と一緒に出す書類の例(仙台家庭裁判所の案内から)
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 財産分与を求めるとき:不動産の登記事項証明書、預金通帳の写し、残高証明書など
- 養育費を求めるとき:源泉徴収票、給与明細書、確定申告書の写しなど
- 調停の不成立調書に争点などが書かれているとき:その謄本
裁判所に納める手数料と、弁護士費用
訴えるときは、手数料を収入印紙で納めます。離婚の請求は、法律上、訴訟の目的の価額を160万円とみなして手数料を計算します(民事訴訟費用等に関する法律第4条第2項)。
| 手数料 | |
|---|---|
| 離婚だけを求める(親権者の指定を含む) | 1万3000円 |
| 財産分与・養育費なども求める | 1万3000円に、1件ごとに1200円を加えた額 |
| 慰謝料も求める | 慰謝料の額による手数料と1万3000円の多い方に、財産分与などの分を加えた額 |
例えば、慰謝料300万円、財産分与、子2人の養育費を求めると、手数料は2万3600円です。
調停で納めた手数料は、不成立の通知を受けた日から2週間以内に訴えれば、訴えの手数料から差し引けます。手数料のほかに、書類を送るための費用を、郵便切手などで納めます。
弁護士に依頼すると、依頼の時に払う着手金と、事件が終わった時に結果に応じて払う報酬金がかかります。
法律事務所の案内に見られる目安は、着手金が30万円から60万円程度、着手金と報酬金の合計が60万円から130万円程度です。実際の額は事務所ごとに異なります。
訴えてから判決までの流れ
審理の進み方
- 訴状を出すと、家庭裁判所が第1回の期日を決め、相手に訴状を送ります。第1回は、訴えてから1か月から2か月ほど後です。
- 訴状を受け取った相手は、どこを認め、どこを争うかを答弁書に書いて出します。
- その後は、おおむね月に1回の期日で、双方が主張の書面と証拠を出し、争点を絞ります。
- 争点が絞れたら、本人尋問が行われます。尋問を受ける夫又は妻が、裁判官や弁護士の質問に答えます。
- 審理が終わると判決が言い渡されます。審理の終わりから判決まで、1か月から2か月ほどかかります。
弁護士に依頼した場合、書面をやり取りする期日には弁護士だけが出ることが多く、本人が出るのは主に尋問や和解の場面です。
親権などを決めるために、家庭裁判所調査官が子どもと面接するなどして調べることもあります(人事訴訟法第34条)。

期間の目安と、裁判の終わり方
最高裁判所の統計によると、令和7年に終わった離婚訴訟の平均審理期間は15.5か月でした。
相手側が口頭弁論の期日で主張をし、判決で終わったものに限ると、平均20.2か月でした。
| 件数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 判決 | 3045件 | 38.3% |
| 和解 | 2982件 | 37.5% |
| 取下げ(調停で解決したものを含む) | 1732件 | 21.8% |
| その他 | 192件 | 2.4% |
判決の後は、控訴の期間と離婚届
判決に納得できなければ、判決書の送達を受けた日から2週間以内に控訴できます(民事訴訟法第285条)。控訴状は判決をした家庭裁判所に出し、高等裁判所で審理されます(同法第286条第1項)。
離婚を認める判決は、夫婦のどちらも期間内に控訴しなければ確定します。離婚が成立するのは、この確定の時です。
訴えた側は、判決が確定した日から10日以内に、判決の謄本を添えて離婚届を出します(戸籍法第77条第1項、第63条第1項)。判決確定証明書も一緒に出します。
訴えた側が10日以内に届け出ないときは、相手も届け出ることができます(同法第77条第1項、第63条第2項)。
よくある質問
離婚裁判は弁護士なしでもできますか。
法律上は可能です。その場合は、訴状や主張の書面を自分で作り、証拠も自分でそろえます。
離婚裁判に勝てば、自分の弁護士費用も相手の負担になりますか。
原則として、なりません。勝っても自分の弁護士費用は自分で負担します。判決で負けた側が負担する訴訟費用は手数料などで、弁護士費用は含まれません(民事訴訟法第61条)。相手の不貞などで慰謝料が認められた場合に限り、認められた額の1割程度が弁護士費用として上乗せされることがあります。
訴えた相手が答弁書を出さず欠席を続けたら、すぐ離婚が認められますか。
すぐには認められません。離婚の訴えでは、相手が欠席しても、それだけで請求どおりの判決は出ません(人事訴訟法第19条第1項)。訴えた側が、離婚の理由があることを証拠で示す必要があります。
判決の前に和解で離婚することはできますか。
できます。裁判の途中で和解が成立し、その内容が調書に記載されると、確定判決と同じ効力が生じます(人事訴訟法第37条第1項、民事訴訟法第267条第1項)。

弁護士に相談するときに用意するもの
調停の不成立の通知や調書、夫婦の戸籍謄本、収入と財産が分かる資料(源泉徴収票、預金通帳の写しなど)を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。

