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改正後の条件に基づき、前の刑と新しい事件の関係を説明します
執行猶予中の再犯では、新しい事件の処分によって、前の猶予が取り消されるかが変わります。逮捕されたというだけで直ちに取り消される制度ではありません。再度の執行猶予には、通常より厳しい条件があります。
この記事の結論
- 猶予期間中の罪で、全部の執行猶予が付かない拘禁刑以上に処せられると、前の猶予は原則として取り消されます。
- 再度の全部執行猶予は、2年以下の拘禁刑と、特に酌量すべき事情があることが条件です。
- 猶予期間内の再犯について期間内に起訴されている場合、期間満了だけでは前の刑の効力は失われません。
逮捕、罰金、実刑で前の刑の扱いが違う
前の全部執行猶予の取消しは、新しい罪にどのような刑が科されたかなどを基に判断されます。警察に呼び出された時点や、逮捕された時点で自動的に取り消されるわけではありません。
| 前の猶予の扱い | 法律の規定 | |
|---|---|---|
| 全部の猶予が付かない拘禁刑以上 | 原則として取消しが必要 | 刑法第26条第1号 |
| 罰金刑 | 取り消すことができる | 刑法第26条の2第1号 |
| 再度の全部執行猶予 | 実刑による必要的取消しには当たらない | 刑法第25条第2項・第26条第1号 |
罰金刑なら絶対に取り消されないという理解も正しくありません。法律は、罰金の場合にも取消しができると定めています。
新しい事件が不起訴になれば、その事件で拘禁刑や罰金に処せられたことを理由とする取消しには当たりません。ただし、保護観察の重大な遵守事項違反など、別の取消事由は残ります。
再度の執行猶予が認められる条件
前の刑の全部を猶予された人でも、新しい事件で再び全部の執行猶予を受ける余地があります。刑法第25条第2項に基づくもので、新しい刑が2年以下の拘禁刑であることが必要です。
さらに、特に刑を酌量すべき事情がなければなりません。2年以下という刑の長さだけを満たせば、必ず猶予になる制度ではありません。
この2年は、犯罪の法定刑の上限ではなく、裁判所が実際に言い渡す刑の長さです。例えば、法定刑の上限が2年を超える罪でも、言渡刑と情状の条件を満たすかが問題になります。
保護観察が付いている場合の注意
初めての全部執行猶予に保護観察が付いていたことだけで、再度の猶予が一律に除外されるわけではありません。再度の全部執行猶予に伴う保護観察中に更に罪を犯すと、原則として再び猶予を受けられません。ただし、保護観察の仮解除が取り消されていない間は、この制限の適用上、保護観察を受けていないものとして扱われます(刑法第25条の2第3項)。
つまり、初度の猶予中の再犯と、既に再度の猶予を受けた後の再犯とでは、条文上の扱いが異なります。過去の判決でどの規定による猶予を受けたかを確かめる必要があります。
再度の全部執行猶予が認められる場合には、保護観察が必ず付されます。通常の全部執行猶予で、保護観察を付すかが裁判所の判断となる場合とは異なります。
保護観察中の遵守事項を守らず、その事情が重い場合には、再犯で刑を受ける場合とは別に、前の猶予が取り消されることがあります。

期間が満了すれば前の刑は必ずなくなるか
期間満了だけで安心できない場合があります。猶予期間内に犯した、罰金以上の刑に当たる罪について、その期間内に起訴されている場合です。
この場合、前の刑の効力は、満了後も法律の定める間は続きます。期間が過ぎてから新しい事件の裁判で全部の猶予のない拘禁刑以上に処せられると、前の猶予の取消しが問題になります。
満了後の罰金刑でも、取消しができる規定があります。なお、期間満了後に犯した別の罪と併せて処断された場合には、必要的取消しに例外が定められています。
古い解説と条件が違う理由
再度の全部執行猶予の対象となる刑の上限は、2025年6月の改正施行で1年から2年に変わりました。初度の保護観察付猶予中の再犯者に対象を広げる変更も行われています。
期間内に起訴された場合の効力継続も改正によるものです。過去の事件にどの規定が適用されるかは、犯罪の日や前の裁判の時期、改正の経過措置を見て判断します。
よくある質問
執行猶予中の再犯でも不起訴になりますか。
検察官は証拠と起訴の必要性を判断します。猶予中という事情だけで、法律上全ての事件が必ず起訴されるわけではありません。
保護観察付きだと再度の執行猶予は無理ですか。
初度の猶予に保護観察が付いたことだけで一律に除外されません。再度の猶予に伴う保護観察中の再犯は、原則として対象外です。ただし、保護観察が仮に解除され、その処分が取り消されていない間は、この制限では保護観察を受けていないものとして扱われます(刑法第25条の2第3項)。
取消しになると、何を服役するのですか。
取消しの対象は、前の判決で待ってもらっていた刑です。新しい刑が実刑なら、その刑に加えて前の刑の執行も受けます。

相談前に用意するもの
弁護士に相談するときは、前の判決書、保護観察に関する書類、新しい事件の呼出状や起訴状を用意してください。
本稿は一般的な制度の説明です。個別の事案については資料に基づく検討が必要です。