【コラム】大麻取締法違反とはどのような犯罪か

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 近年、海外では大麻(マリファナ)の所持や使用を合法とする国も出てきました。しかし、日本においては大麻は厳格に規制された違法薬物であり、たとえ興味本位であっても所持・栽培などに手を出せば犯罪となります。法律事務所のコラムとして、本記事では大麻取締法に違反する行為の内容や、その罰則、そして「違法性の認識」に関するポイントをわかりやすく解説します。

大麻取締法とはどんな法律?

 大麻取締法は、その名のとおり大麻に関する行為を取り締まる日本の法律です。簡単に言えば、許可なく大麻を扱うことを禁止する法律であり、制定以来、日本国内での大麻の所持や栽培を一貫して違法としています。法律上、「大麻」とは大麻草(アサ)のうち成熟した茎および種子(それらの製品)を除いた部分を指します​。茎や種子には大麻の有害成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)がほとんど含まれないため、麻の実(七味唐辛子の原料など)や麻の繊維といった部分は規制対象から除かれているのです​。

 大麻取締法では、研究や医療等の特別な免許を受けた大麻取扱者以外の一般の人による大麻の所持や栽培などを一切禁止しています​。次のような行為は、免許がない限りいずれも大麻取締法違反となる犯罪行為です。

  • 所持(大麻を持っていること)
  • 譲渡(他人に大麻を売ったり譲り渡すこと)
  • 譲受(他人から大麻をもらうこと)
  • 栽培(大麻草を育てること)
  • 輸出・輸入(大麻を海外へ持ち出したり海外から持ち込むこと)
  • 使用(大麻を喫煙・摂取すること)

※なお、大麻の使用については長らく法律上明確な罰則規定がありませんでしたが、令和6年(2024年)の法改正によって大麻の使用も禁止行為に含まれ、処罰の対象となりました​。これにより、大麻を吸う行為自体も違法となった点に注意が必要です。

罰則と処罰の内容

 大麻取締法に違反した場合、刑事罰を受けることになります。その刑罰は違反行為の内容によって異なりますが、現在は法改正により一段と厳しいものとなっています​。例えば、大麻を無許可で栽培したり輸入・輸出した場合は1年以上10年以下の懲役に処せられます(営利目的〈販売して利益を得る目的〉の場合は1年以上20年以下の懲役に加え状況により最大500万円の罰金も科され得ます)​。また、所持譲渡譲受使用をした場合には1か月以上7年以下の懲役となり(営利目的の場合は1年以上10年以下の懲役および最大300万円の罰金)​。これらの犯罪は未遂の場合であっても処罰されるので注意が必要です​。

 実際の科刑は情状によりますが、初犯で少量の自己使用目的であれば執行猶予付きの判決(刑の言い渡しを一定期間猶予し、その期間を無事に過ごせば服役しなくて済む措置)となるケースも多いです​。しかし、有罪になれば前科が残り社会生活への影響は避けられません。また、再犯を重ねれば実刑で直ちに刑務所に服役する可能性も高まります。

「知らなかった」で済む?違法性の認識とは

 大麻取締法違反が成立するためには、大麻であると認識した上で所持・栽培などを行ったことが必要です​。裏を返せば、本当にそれが大麻だと知らずに扱っていた場合には原則として罪に問われません。例えば、人から預かった荷物に大麻が入っているとは露知らず運んでしまったようなケースです。しかし実際問題として「大麻を合法な物と勘違いして所持していた」などという状況はほとんど考えられないため​、「知らなかった」と主張して責任を免れるのは極めて難しいでしょう。たとえ確信がなくとも「もしかしたら違法な薬物かもしれない」と思いながら所持していたのであれば故意ありとみなされ処罰されてしまいます​。また、「海外では合法だから日本でも大丈夫だと思った」「害が少ないと聞いたので平気だと考えた」などという言い分も通用しません。日本においては大麻は明確に違法であり、その規制を知らなかったこと自体は弁解にならないのです。

 以上のように、大麻取締法違反は厳しく罰せられる犯罪です。海外で合法化が進む動きがあっても、日本では決して安易に手を出してはいけません。万一大麻に関わるトラブルに巻き込まれてしまった場合は、早めに信頼できる弁護士に相談することをおすすめします。

※最近私の担当する案件は、リキッドタイプの大麻が多いですね。

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